随宜論[*1]

　当家に於て古来従り造仏読誦を制止すること年久し。爰に信心の檀越有りて来って愚に問て曰く、諸の門徒皆仏像を造立し一部を読誦す、富山の一家は何の意趣有りてか此の義を許さざるや。願くば其の意を示せ。
　愚之に語りて曰く、聖人出世の本懐は三箇の秘法を弘通せんが為なり。造仏は即ち一箇の本尊なり、誰か之を作らざる。然るに今に至るまで造立せざることは聖人の在世に仏像を安置せざるが故なり。
　読誦は一段摂折[*2]時異るなり。是の故に誦経広略殊なると雖も共に以て読誦す。此の問に因(ヨ)りて管見に任せ諸文を勘へ宗意を得て他の侮りを禦(フセ)がんと欲して文を睹(ミ)るに心盲(クラ)く、義を聴(キ)くに性聾(ロウ)にして其の器に非らずと雖も、要用の文を集めて愚が廃忘を助くるのみ。
　此の義を明かさんと欲すに二あり、初には造仏、次には読誦なり。
　初に造仏を云はば亦三あり、道理と文証と外難なり。
　初に道理を云はば、
　権教(経)の意に約せば、造仏は悪趣に堕さざるの因、天上に生ずの縁なり。権経猶(ナホ)此(カク)の如し。況んや実大乗の法華経は小善悉く成仏す。造像の大善は言論すべからず。所有の業障[*3]皆(ミ)除滅を得、衆の苦悩百六箇抄の益を得。具さには異相[*4]・珠林[*5]・心宝[*6]等諸経を引きて之を明かすが如し。繁き故に之を略す。
　二に証を引かば、
　観心本尊抄に云く[*7]「其の本尊の為体、本時の娑婆の上に宝塔空に居し、塔中の妙法蓮華経の左右に釈迦牟尼仏・多宝仏[*8]・釈尊の脇士[*9]には上行等の四菩薩[*10]なり。文殊・弥勒等は四菩薩の眷属として末座に居し、迹化他方の大小の諸菩薩は万民の大地に処して雲閣月卿[*11]を見るが如く、十方の諸仏は大地の上に処し給う。迹仏迹土[*12]を表する故なり。是の如き本尊は在世五十余年に之れ無し。八年の間にも但だ八品[*13]に限る。正像二千年の間は小乗の釈尊は迦葉[*14]・阿難[*15]を脇士と為し、権大乗並に涅槃・法華経の迹門等の釈尊は文殊・普賢[*16]等を以て脇士と為す。此等の仏をば正像に造り画けども未だ寿量の仏有(マシマ)さず。末法に来入して始めて此の仏像出現せしむ可き歟」文。
　報恩抄下云く[*17]「一には日本乃至一閻浮提[*18]一同に本門の教主釈尊を本尊とすべし。所謂宝塔の中に釈迦多宝外(ソノホカ)の諸仏は並に上行等の四菩薩の脇士となるべし。二には本門の戒壇。三には日本乃至漢土月氏一閻浮提に人ごとに有智無智をきらはず、一同に他事をすてて南無妙法蓮華経と唱ふべし」文。
　唱法華題目抄に云く[*19]「問云、法華経を信ぜん人は本尊並に行儀並に常の所行何にて候べき。答云、第一に本尊は法華経八巻・一巻一品・或は題目を書いて本尊と定む可しと法師品神力品に見へたり。又堪たらん人は釈迦如来・多宝仏を書いても造つても法華経の左右に之を立て奉るべし。又たへたらんは十方の諸仏・普賢菩薩等をも造り書き奉る可し」文。
　問、此文十方の諸仏なるが故に阿弥陀仏を造立すべきや。
　答て曰く、一切経並に天台・日蓮の御義、十方諸仏其の名定まれるや。十方の諸仏を云うに阿弥陀の名之れ無し。普賢観経に東方善徳仏[*20]・南方栴檀徳仏[*21]の二仏を挙げ、余の八方仏の御名を略す。観仏三昧経[*22]と天台の法華三昧儀[*23]と祖師の御書とには、具さに十方仏の名を挙ぐ。千日尼御前御書に云く[*24]「十方の仏と申すは東方善徳仏、東南方無憂徳仏[*25]、南方栴檀徳仏、西南方宝施仏[*26]、西方無量明仏[*27]、西北方華徳仏[*28]、北方相徳仏[*29]、東北方三乗行仏[*30]、上方[*31]廣衆仏、下方明徳仏[*32]也」文。此の十方仏中阿弥陀の名を載せず。十方仏の大将を挙げ、則ち阿弥陀を納む可きや。
　又聖人御自筆本尊に云く「南無釈迦牟尼仏、南無多宝如来、南無東方善徳仏、南無十方分身の諸仏、南無上行菩薩」等文。此の如き本尊数多有り、若し乍らば御書曼荼羅の如く作る可きや。
　問て云く、第六天の魔王[*33]・提婆達多[*34]等を造立す可きか如何。
　答て云く、力有らば魔王・提婆を作るべし。但し心に随ふ可しと判ぜる故に、意楽に随ふ可きなり。又大聖人御在世を案ずるに御開眼度々なり。所謂真間釈迦仏供養抄、四條金吾釈迦仏供養抄、木絵二像開眼等なり。是れ皆一体仏[*35]を造立するなり。宗祖所弘の三箇の秘法の本尊に非ずと雖も各々開眼を為すなり。繁文を恐れ之を出ださず。往見すべきなり。
　第三に外難を遮せば、
　問て云く、富山一家造仏を許すとなすや否や。若し之を許さば何んが意造立せざらんや、若亦許さずんば上の諸文如何(イカガ)会用せんや。
　答え云く、古来従り多義有りと雖も愚意に任せば造仏を許すべき歟。
　問う、若し造仏を許さば不審繁多なり。
　案ずるに聖人御在世（中）は仏像造立されず。深く所以有る故なり。若し造立して苦しからずんば釈迦を立像して四菩薩を加へられざるや。其の上御遷化記録に云く[*36]「仏は※釈迦立像※墓所の傍に立て置くべし」云云文。是れ不造像の現証なり※是一※。
　又本因妙抄に云く[*37]「仏は熟脱[*38]の教主、某は下種の法主なり」文。熟脱の仏とは未だ惑を断ぜず、我等が機には不相応故造る可からざるなり。是の故に日有師化儀抄に云く[*39]「当宗の本尊の事日蓮聖人に限り奉る可し」文。一百六箇血脈抄に云く[*40]「下種感応日月本迹下種仏天月、脱仏池月」文。是れ則ち下種の法主は日蓮天月、脱仏釈迦は水月の証文なり。之に就いて弥々深意あり。古徳の云く、久遠元初自受用報身とは本因名字即日蓮の事なり、故に日蓮を下種仏と名づくる也※是二※。
　又本尊七箇決に云く[*41]「明星直見本尊の事如何。師の曰く、虚空蔵に末代の嬰児の凡夫の為何物を以て本尊とす可き耶と御祈請ありし時、古僧の示して云く、汝等が身を以て本尊となす可し。明星が池を見玉へとの玉ふ。即ち彼の池を見るに不思議なり。日蓮が影今の大漫荼羅なり云云」文。三箇の秘法の本尊全く日蓮が形像なり。此の故に日蓮の御影を以て本尊と為(ナ)す。色相荘厳[*42]の仏を造立すべからざるなり※是三※。
　又五人所破抄に云く[*43]「諸仏の荘厳は同じと雖も印契[*44]に依つて異を弁ず、如来の本迹は測り難きも眷属を以て之を知る。所以に小乗の三蔵の教主は迦葉・阿難を脇士と為し、伽耶始成[*45]の迹仏は普賢・文殊左右に在り、此の外の一体の形像豈頭陀[*46]の応身に非ずや。凡そ円頓[*47]の学者は広く大綱を存して網目を事とせず。倩々(ツラツラ)聖人出世の本懐を尋ぬれば、源(ミナモト)権実已過[*48]の化導を改め上行所伝の乗戒[*49]を弘めんがためなり。図する所の本尊は亦正像二千（年）の間一閻浮提の内未曾有の大漫荼羅なり。今時に当りては迹化の教主既に益無し、況んや●（口＋多）●（口＋多）婆和[*50]の拙仏を哉。次に随身所持の俗難は只だ是れ継子一旦の寵愛[*51]、月を待つ片時の蛍光か。強いて執する者尚帰依を致さんと欲さば須らく四菩薩を加ふべし。敢て一仏を用ふることなかれ」文。此の文の如くんば、今時に当って爾前迹門の仏は悉く無益と嫌い、聖人所持の立像一旦の義なり。明かに知んぬ不造仏なるを※是四※。
　有るが云く、当家の本尊は法宝勝る故法華経を以て本尊と為るなり。本尊問答抄の如し。又云く、板本尊は富士山本門寺本堂の本尊なり。御端書亦其の所以なり。此等の義を以ての故に造仏すべからず如何が会用せんや。
　答え云く、聖人御在世に仏像を安置せざることは未だ居処定まらざる故なり如何。鎌倉比企谷は転法輪[*52]の地、名越松葉が谷は安国論の作窟なり。共に以て国主の為に破却せらる。或は伊豆・佐渡の遠島適は帰ると雖も、旧里亦法敵隙を●(ウカガ)ふ故に未だ片時も安堵せず、国主帰依なき故一歩地も領無く何処に卜居せん。亦身延山蟄居は且らく居処を定むるに似ると雖も勅裁無き故本尊造立も及ばず。
　次に立像釈迦に四菩薩を加えられざること。是又宗祖の本意に非らず。故に若し遺告無くんば誤りて立像の釈迦を以て末代の本尊と為し聖人出世の本懐三箇の秘法の本尊を棄て置く可し。故に預(カネ)て「墓所の傍に立て置くべし」と示す云云。御遺言の上(タテマツル)、猶以て執する者は立像釈迦を以て本尊と為すべし。是れ則ち五人所破抄に制禁する所なり。此の義を以て不造仏の現証と為(ナ)すは会するに足らざる者歟。
　次に本因妙抄の事。凡そ熟脱の教主は第二番成道已来今日[*53]の釈迦応身は尽未来際の応身仏を指し熟脱仏と為(ナ)すなり。宗祖勧請の釈迦は敢て脱仏に非(アラ)ざるなり。如何が寿量品の時、近成[*54]の門を開いて今日の釈迦応身仏(ト)を見ずして直ちに久遠実成の自受用報身如来(ト)を拝見す。是の故に天台大師の如来寿量品を釈する時[*55]「若し別意に従へば正しく報身に在り」と云(フ)は亦此の意なり。此の自受用報身如来、上行等を召し出し別付属[*56]なり。是れ神力品の形なり。此の時の体を今本尊に顕わす故に脱仏を存す可からず。一体仏と雖も四大菩薩を脇士と為すは(セバ)自受用報身如来なり。是れ五人所破抄の指南興師の御義なり。
　又一体仏たりと雖も日蓮聖人の御本尊の前に造立する釈迦は、久遠実成の釈迦如来報身如来なり。若し亦久成の報身と雖も三十二相八十種好ならば脱仏なりと云はば、一百六箇に云く[*57]「下種の法華経の教主の本迹自受用身は本、上行日蓮は迹なり」文。是れ即ち相好を具す而も下種仏なり。是の故に本尊に勧請の釈迦牟尼仏は脱仏なり可からずと得意するなり。
　次に日有上人化儀抄の事、未だ明拠を見ざる故慥かならず信用し難し。但だ歌道は人丸を以て本尊と為し、医師は薬師を以て本尊と為す等、此等を以て爾ならば、先ず一重三箇の秘法本尊を定め畢んぬ。
　次に末法の導師故祖師堂の本尊を定むる事、百六箇其外諸門徒通同の義なり。若爾らずんば三箇の秘法の内、一箇の本尊は徒然なる歟。
　次に感応日月本迹の事、是れ亦釈迦と日蓮との相対に非ず。唯仏与仏の相対なり。下種仏とは挙ぐる所の自受用報身、脱仏とは二番已下今日の応身仏なり。是れ即ち本果の釈迦は本なり天月なり。二番已下の脱仏は迹なり池月なり判文なり。爾らば釈迦と日蓮の相対の釈と見るは僻見なり。
　次に久遠元初自受用身は即日蓮の事なりとは、此一段甚だ以て不審なり。如何となれば、百六箇に云く[*58]「今日蓮が修行は久遠名字の振舞に芥爾計りも違わざるなり」文。又云く[*59]「三世常住の日蓮は名字[*60]の利生[*61]なり」文。御書[*62]に云く「日蓮は名字凡夫なり」文。又云く「理即[*63]には秀でて名字には及び及ばず」文。諸文悉く日蓮は名字即と判じて、未だ凡人に仏名を付くること見ず。但し日蓮の本地は上行、上行の本地は仏なり。今難ずる所は此くの如き義に非ず。天台・妙楽・伝教・蓮祖の義に非らずんば会用し難し。若亦「若遇余仏」[*64]の文を引て云く、天台大師此の文を釈して云く[*65]「四依[*66]也」云云。是れ即ち名字即の日蓮を仏と称する明文なりと云はば亦本文に違す。天台・章安・妙楽の四依を釈する時、或は十信初依[*67]、或は初住初依[*68]、或は六根五品初依[*69]不同ありと雖も名字即初依の未だ明文を見ず。若し爾らば本拠本説の如く得心して後、義を取るは常途の法式なり。
　若し爾らば頗(ヨ)りて阿党を捨て本文の如く之を論ずる時、文四に云く[*70]「便ち界外[*71]有余の国[*72]に生じ余仏に値遇し、此の経を得聞す。○余仏とは四依なり」文。記の四末に云く[*73]「初文は有余土の仏を以て名づけて余仏と為す。○須らく四依に遇うと云うべきのみ」文。玄六に云く[*74]「初依は余仏に名づく、無明[*75]を未だ破らず、之を名づけて余と為す。能く如来秘密の蔵を知り深く円理を覚る。之を名づけて仏と為す」文。籤六に云く[*76]「通じて五品及び六根浄を取る故○内外の凡の位を名づけて凡師と為(ス)ることを証す」文。玄五に云く[*77]「五品六根は初依と為す」文。この文実に五品に居す六根の人の衆生の依止と為す所を釈するなり。記の八、補註六等之を略す。此の本拠本説の如く心得畢んぬ。
　扨て義を取る時、元祖日蓮聖人は上行菩薩の後身なり。此の故に諸の内証は自受用報身如来なり。又本門四依の内初依の導師なる故、又余仏なり。又下種の仏とも云ふ可き歟。　次に明星直見の本尊の事、是れ亦御影を以て本尊と為すこと支(文)証に備へ難き歟。凡そ体用の法門は体を取って用を捨つるは常途の義なり。今此の文の如きは例同し難し。如何が蓮祖本尊を虚空蔵[*78]に祈るに以て蓮祖の影を示現す。影全く神力別付属の形相なり。宗祖大悟亦符合す。是れ即ち三箇の秘法の本尊故示現に任せ影を以て本尊と為す可し。体と取る莫れ、若し強ちに体を取らば三箇の秘法は徒設なるべき歟。
　次に五人所破抄の事、是れ亦一体仏を制止するの文にして、而も未だ久遠実成の釈迦仏を制止するの文を見ず。其の故は初に爾前迹門の仏の相を挙げ畢て、次ぎ下に宗家の本尊を示して相待して爾前迹門の仏は今末法に迎へて益無しと嫌ふ。明らかに知んぬ久遠の釈迦を制せざる事を。随身仏[*79]も一体仏の故に小権迹本の不同明らめ難し。若し帰敬致さんと欲せば四菩薩を加えて久遠実成の自受用報身如来と成り奉つて帰敬すべし。若し爾らずんば小権迹本混乱して弁へ難し。故に一仏をば用ゆべからざるなり。是れ即ち還って久遠の釈迦造立の明文にして敢て不造の証文には非ざるなり。
　次ぎには法宝最勝の事、誰か此の事を論ぜんや。是れ即ち宗家の本尊なり。弥御書の如く仰いで信ずべきのみ。
　次に板本尊の事、是れ即ち戒壇堂の本尊なり。之を以て不造の証と為すこと謂ふに足らざるのみ。然りと雖も次を以て之を謂はん。聖意測り難しと雖も愚推を以て之を謂はば、本門心底抄に云く[*80]「本門の戒壇其れ豈立たざらんや、仏像を安置すること本尊の図の如し」文。此の文を以て推するに戒壇成就の日は仏像を造立すること分明なり。
　之に就て叡山迹門戒壇[*81]を案ずるに、根本中堂には薬師像[*82]を安置す。寿量品の如来の名を秘して薬師と称す云云。伝教大師の御作なり。祖師堂には伝教大師の御影之れあり。毘沙門堂には多聞天[*83]の像を安置す。之を号して三堂と名づく。
　此の外戒壇あり。是れ即ち円頓の大戒[*84]なり。又金剛宝戒[*85]と名づけ大白牛車戒[*86]とも名づく。其の為体(テイタラク)多宝塔[*87]を建立して中に本迹二経の秘法を蔵(ウズ)む。以て戒壇を築く。宝塔は大慈悲室[*88]なり。解脱憧相の袈裟[*89]を繋(カ)くるは柔和忍辱衣[*90]なり。尼師壇[*91]を敷くは諸法空を座と為すなり。法華経の所在は即ち常寂光土[*92]なり。此の妙土に於て性戒[*93]を伝授す。受法のみ有つて捨法無き故に虚空不動戒[*94]と名づく。委しく之を論ずること今の所用に非らず。
　若し此の義に准ぜば、本堂には本尊の如く仏像を安置すべし。祖師堂は日蓮聖人(ノ)御影、垂迹堂には天照・八幡の尊像之れ有るべし。其の上に戒壇堂を建立して中に法華経一部を納め戒壇を築き、板本尊を安置し奉らんこと是れ即ち法華本門の大戒なる可き歟。
　是の故に元祖大士は板本尊を図して以て後代に送り、日興上人は棟札を書きて以て滅後に伝ふ。伝教大師は迹門の三譬を表して三堂を叡山に建立し、興師は本門の三譬を表して三堂を富山に建立することを願(ホツ)す。御棟札良(マコト)に故有る哉(カナ)。委しくは別紙に在り。此に尽くす可きに非らず。若し此の義に准ぜば板本尊を以て不造仏の現証と為(ス)るは甚だ非なり。
　又興師御筆に云く[*95]「弁の阿闍梨[*96]の弟子少輔房日高[*97]去ぬる嘉元年中以来日興の義を盗み取って下総の国に於て盛んに引通す。伊予阿闍梨[*98]下総の国真間堂の一体仏なり。而るを年月を経て日興の義を盗み取りて四脇士を造り副ゆ。彼の菩薩の像は宝冠形[*99]なり」文。是れ亦五人所破抄の文に符合す。又波木井・原殿に給ふ御返事に云く[*100]「第二の久遠実成の木像最前に破れ候」文。是れ即ち興師正義の破壊を悲歎し玉ふ文なり。寂日房日華[*101]の状等繁き故に之を略す。此等の文は造仏を許す明文に非らずや。
　問、若し爾らば古来従り仏像を造立せざるは誤りと謂ふ可き歟如何。
　答て云く、古へより今に至るまで造仏は堕獄の因と称するは誤りの甚だしきなり。造立せざることは由緒(所以)有るべきなり。其の故は日尊[*102]実録※日大[*103]記之※に云く[*104]「第三に云く、一、久成の釈迦造立有無の事、日興上人仰に云く、末法は濁乱なり、三類の強敵[*105]之れ有り、爾らば木像等の色相荘厳の仏は崇敬するに憚り有り。香花灯明の供養も叶ふべからず。広宣流布の時分まで大漫荼羅を安置し奉る可し」云云。
　尊[*106]の仰に云く[*107]「大聖人御代二ケ所之を造立し給へり。一ケ処は下総国市河真間富木五郎入道常忍[*108]、三ソ木[*109]を以て造立す。一ケ所は越後の国内善浄妙比丘尼[*110]造立して之れ有り云云。（中略）総じて三ケ処之れ有り。此等は略本尊なり。但し本門寺の本尊造立の記文・相伝別に之れ有り云云。予が門弟相構へて上行等の四菩薩を相副へ給へる久成の釈迦・略本尊、資縁の出来、檀越の堪否に随つて之を造立し奉り、広宣流布の裁断を相待ち奉る可きなり」文。
　日代[*111]上人の御書に云く[*112]「仏像造立の事は本門寺建立の時なり。未だ勅載無し。国主御帰依の時三ケの大事一度に成就せしめ給ふ可きの由御本意なり。御本尊の図は其の為なり」文。此の文、実録の内の興師の御義に符合す。然らば富山の立義は造らずして戒壇の勅許を待ちて、而して後に三ケの大事一度に成就為(ナ)す可きなり。若し此の義に依らば、日尊の本門寺建立の時に先きんじて仏像を造立し給ふは、一箇の相違なり。罪過に属す可しと云はば、未だ本門寺建立の時到らず本門寺と号するは、又一箇相違なり。罪過に属す可きや。此の如きの段今の所論に非らず。願くは後来の学者二義を和会せば、造不造は違する所無くして永く謗法を停止して自他共に成仏を期すのみ。
　右の一巻は予法詔寺[*113]建立の翌年仏像を造立す。茲に因つて門徒の真俗疑難を(ニ)致(到)す(ル)故、朦霧を散ぜんが為、廃忘を助けんが為に筆を染むる者なり。

　寛永十戍年霜月吉旦　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日　精

△日因[*114]云、精師御所存ハ当家実義と大相違也（己下略）

【注】
*1 随宜論
本来無題。後世、内容に従って題を付けた。
*2 摂折
摂受・折伏の二種の布教方法。
*3 業障
悪業によってもたらされた障害。
*4 異相（いそう）
経や律の中から抜粋し、諸事項に分類整理した書「経律異相」のことで、宝唱らがまとめた。「大正新修大蔵経」第五四巻所収
*5 珠林（じゅりん）
諸経論の文を事柄によって類別した書「法苑珠林」のことで、道世が撰述。「大正新修大蔵経」第五四巻所収
*6 心宝
大蔵経の要文を抜粋した書「仏蔵心宝」のことで、要法寺二十世日・がまとめた。
*7 観心本尊抄に云く
「御書全集」二四七頁
*8 多宝仏
法華経宝塔品において、宝塔に乗じて大地より涌出し、法華経が真実であることを証明した仏。
*9 脇士（きょうじ）
仏の両脇に居して、仏の化導を助ける菩薩のこと。
*10 四菩薩
法華経涌出品において、大地より涌出した上行・無辺行・浄行・安立行の四人の菩薩。
*11 雲閣（うんかく）月卿（げっけい）
雲閣は古代中国で高く作られた建物・台のこと。月卿は大臣・公卿のこと。
*12 迹仏迹土
迹仏とは本仏に対する語で、久遠実成の釈迦が化導のために始成正覚の仏としてインドに生まれあわせた姿。迹土は始成正覚の仏が化導する国土のこと。
*13 八品（はっぽん）
八品には迹門の八品と本門の八品の二意あるが、ここでは従地涌出品第十五から囑累品第二十二までの本門の八品のこと。
*14 迦葉（かしょう）
釈迦の十大弟子の一人で頭陀（少欲知足の修行）第一といわれた
*15 阿難（あなん）
釈迦の従弟で、十大弟子の一人。多聞第一といわれた。
*16 普賢（ふげん）
文殊菩薩と共に迹門の菩薩の代表的存在。
*17 報恩抄下云く
「御書全集」三二八頁。
*18 一閻浮提（いちえんぶだい）
仏教の世界観による我々の住む世界。
*19 唱法華題目抄に云く
「御書全集」一二頁。
*20 善徳仏（ぜんとくぶつ）
東方・無憂世界の仏。
*21 栴檀徳仏（ぜんだんとくぶつ）
南方・歓喜世界の仏
*22 観仏三昧経（かんぶつさんまいきょう）
「観仏三昧海経」（十巻）のこと。仏の相好や、その功徳について説かれている。「大正新修大蔵経」第一五巻所収。
*23 法華三昧儀（ほっけざんまいぎ）
「法華三昧懺儀」（一巻・天台大師著）のこと。法華経と普賢観経の意を取って、法華三昧を修する行法儀式が書かれている。「大正新修大蔵経」第四六巻所収。
*24 千日尼御前御書に云く
「御書全集」一三一五頁。
*25 無憂徳仏（むうとくぶつ）
東南方・月明世界の仏。
*26 宝施仏（ほうせぶつ）
西南方・衆相世界の仏。
*27 無量明仏（むりょうみょうぶつ）
西方の世界の仏。
*28 華徳仏（けとくぶつ）
西北方・衆音世界の仏。
*29 相徳仏（そうとくぶつ）
北方・不可動世界の仏。
*30 三乗行仏（さんじょうぎょうぶつ）
東北方・安穏世界の仏。
*31 廣衆仏（こうしゅうぶつ）
上方・衆月世界の仏。
*32 明徳仏（みょうとくぶつ）
下方・広大世界の仏。
*33 第六天の魔王
欲界の第六天の主である他化自在天のこと。人の善事を害し、正法に害をなす魔王。
*34 提婆達多
釈迦の従弟である阿難の兄。釈迦に迫害を加えたため悪逆謗法の例として取り上げられる。
*35 一体仏
菩薩の脇士を造り副えない釈迦像のみの仏。
*36 御遷化記録に云く
「日蓮正宗聖典」五八四頁。
*37 本因妙抄に云く
「御書全集」八七四頁（「日蓮正宗聖典」三四六頁）。
*38 熟脱
熟益と脱益のこと。仏の衆生教化に種・熟・脱の三つの利益があるが、種とは仏種を衆生の心田に下すこと、熟はその種を育成すること、脱は種が成育して悟りの果となって実り、得脱すること。
*39 化儀抄に云く
「日蓮正宗聖典」九七九頁。
*40 一百六箇血脈抄に云く
「御書全集」八六六頁（「日蓮正宗聖典」三六七頁）。
*41 本尊七箇決に云く
「日蓮正宗聖典」三七九頁。
*42 色相荘厳（しきそうしょうごん）
色（しき）とは形あるものという意味で、色相とは実際に現れ見ることのできる姿。荘厳とは飾りたてて、尊く厳かなること。仏は、衆生が仏に対して尊崇の念を起こさせるために三十二相八十種好をもって、その身を飾った。
*43 五人所破抄に云く
「御書全集」一六一四頁（「日蓮正宗聖典」五五〇頁）。
*44 印契（いんけい）
印相ともいう。仏・菩薩の悟りによる尊格・働き等を示すが、これには有相と無相の二種ある。ここでは有相の印のことで、仏・菩薩の手の組み合わせのほか、杖・刀・蓮などの持ち物のこともいう。
*45 伽耶始成（がやしじょう）
伽耶とは釈迦成道の地、仏陀伽耶のことで、そこの菩提樹の下で初めて悟りを開いたこと。始成とは始成正覚のことで、久遠実成に対する語。
*46 頭陀（ずだ）
衣食住に対する欲望を捨てて、乞食や托鉢の修行に励むこと。または、その修行の姿。
*47 円頓（えんどん）
究極の教え・修行のこと。
*48 権実已過
権は権教で法華経以外の経典を指し、実は実教で法華経のこと。但し日蓮聖人が法華経の肝心である南無妙法蓮華経を示されたことで、権教・実教共に過去の教えとなってしまったこと。
*49 乗戒（じょうかい）
乗は智慧を得、真理を悟るための教え。戒は悪を除くための戒めのこと。
*50 ●●婆和の拙仏（たたばわのせつぶつ）
●●婆和とは赤子が口にするはっきりしない言葉のこと。ここでは大乗の仏・菩薩が垂迹して小乗の衆生に同ずること。または小乗教の仏のこと。
*51 継子一旦の寵愛（けいしいったんのちょうあい）
継子（ままこ）に注ぐ一時的な情愛。
*52 転法輪（てんぽうりん）
仏の説法のこと。比企谷の近く、現在鎌倉市小町に「日蓮聖人辻説法跡」として残されているが「比企谷は転法輪の地」とは、この辻説法のことを指すか。
*53 今日（こんにち）
釈迦在世五十年間の説法のこと。
*54 近成（ごんじょう）
始成正覚と同意。久（遠実）成に対する語。
*55 天台大師の如来寿量品を釈する時
「法華文句巻九下」の文。「大正新修大蔵経」第三四巻一二九頁上段。
*56 別付嘱
法華経第二十一神力品に四句の要法をもって地涌の菩薩に対して、仏の滅後の弘法を託したこと。囑累品の総付嘱に対する語。
*57 一百六箇に云く
「御書全集」八六三頁（「日蓮正宗聖典」三六四頁）。
*58 百六箇に云く
「御書全集」八六三頁（「日蓮正宗聖典」三六三頁）。
*59 又云く
「百六箇抄」の文。「御書全集」八六三頁（「日蓮正宗聖典」三六四頁）。
*60 名字
ここでは名字即のことで、天台大師が定めた円教を修行する菩薩の六段階の位（六即）の一つ。
*61 利生（りしょう）
衆生に利益を与え、救済すること。
*62 御書
「教行証御書」の文。「御書全集」一二七七頁。
*63 理即
天台大師が定めた円教を修行する菩薩の六段階の位（六即）の一つ。
*64 若遇余仏（にゃくぐうよぶつ）
法華経「方便品第二」の文。「妙法蓮華経並開結（大石寺版）」一七一頁。
*65 天台大師此の文を釈して云く
「法華文句巻四下」の文。「大正新修大蔵経」第三四巻五四頁上段。
*66 四依（しえ）
四つのよりどころとするもの。涅槃経ではこの四依に法四依（①依法不依人②依義不依語③依智不依識④依了義経不依不了義経）と人四依（①煩悩性を具す人②須陀・・優陀含の人③阿那含の人④阿羅漢の人）とに分かつ。
*67 十信初依
別教で説かれる大乗修行の菩薩の五十二の階位（十信・十住・十行・十廻向・十地・等覚・妙覚の計五十二位）のうち、十信の位に居る者を人四依の一番目の人とすること。
*68 初住初依
五十二位のうち、十住の位に居す者を人四依の一番目の人とすること。
*69 六根五品初依
六根清浄の位（六即のうちでは相似即にあたる）に居る者、又はその一つ手前の五品弟子の位（六即のうちでは観行即にあたる）に居る者を人四依の一番目の人とすること。
*70 文四に云く
「法華文句巻四下」の文。「大正新修大蔵経」第三四巻五四頁上段。
*71 界外（かいげ）
界内に対する語。欲界・色界・無色界の三界は輪廻転生する苦しみの世界で、この中にあることを界内といい、この苦や迷いから離れた世界を界外という。
*72 有余（うよ）の国
天台大師が分類した四つの仏国土のうちの方便有余土のことで、方便道を修行することにより見思の惑を断じても、まだ塵沙・無明の二惑を残している二乗と菩薩の住処。
*73 記の四末に云く
「法華文句記巻五中」の文。「大正新修大蔵経」第三四巻二四一頁中段～二四二頁上段。。
*74 玄六に云く
「法華玄義巻七上」の文。「大正新修大蔵経」第三三巻七六二頁下段。
*75 無明
法性に対する語。一切の迷いや苦を生ずる煩悩の根本を指す。
*76 籤六に云く
「法華玄義釈籤巻一四」の文。「大正新修大蔵経」第三三巻九一六頁下段。
*77 玄五に云く
「法華玄義巻五上」の文。「大正新修大蔵経」第三三巻七三六頁下段。
*78 虚空蔵
虚空（空間）のように無量の智慧を蔵する菩薩。
*79 随身仏
常に所持する仏。
*80 本門心底抄に云く
「富士宗学要集」第二巻三四頁。重須談所（現・北山本門寺）第二代学頭三位阿闍梨日順の著と伝えられる。
*81 叡山迹門戒壇
伝教代師が発願し、没後まもなくして勅許を得て、比叡山に建立された大乗戒を授ける戒壇。日蓮聖人の三大秘法の一つ本門の戒壇に対して迹門の戒壇と呼ぶ。
*82 薬師像
薬師琉璃光如来といい、東方の浄瑠璃世界の教主。衆生の病苦を除く仏。
*83 多聞天
毘沙門天のこと。多くの仏の説法を聴聞していることから多聞天といわれている。仏教の世界観で須弥山を守る四天王のうち北方を守護する神。我が国では、北方守護の武神徒して崇められた。
*84 円頓の大戒
天台宗の用いる大乗の戒。梵網経に説かれる梵網戒を基に伝教大師が定めた。円頓戒・円戒ともいう。
*85 金剛宝戒
梵網経で、そこに説かれる大乗の戒を賞揚する意を込めて呼び変えた名。金剛とはダイヤモンドのことで、ダイヤモンドのように堅固で優れた戒という意味。
*86 大白牛車戒（だいびゃくごしゃかい）
大白牛車とは法華経譬喩品の火宅の喩に出てくる車。この喩の中で、羊車・鹿車・牛車の三車を三乗に例え、大白牛車を一乗に例えている。円頓の大戒とは、大白牛車に言い表される一乗平等思想に裏付けられた戒であるということ。
*87 多宝塔
多宝如来が座している塔。
*88 大慈悲室
法師品第十に説かれる、法華経を弘通する方法として説かれた衣座室の三軌のうちの一つ。弘経の人は仏の慈悲の心に住するべきことをいう。
*89 解脱幢相の袈裟（げだつどうそうのけさ）
袈裟は解脱を求める者の着用するもので、また仏前に掲げる幢（どう＝絹等の織物を竿などにつけて高く掲げ、仏前を荘厳したもの）に似ていることから、このようにいわれる。
*90 柔和忍辱衣（にゅうわにんにくえ）
柔和とは、やさしくおとなしいこと。忍辱とは、侮辱や迫害を忍受し恨まないこと。衣は寒熱を防ぐことから、結びつけられていう。
*91 尼師壇（にしだん）
座したり横たわったりするとき、地に敷いて、身などを守るための道具。
*92 常寂光土
天台大師智・が分類した四つの仏国土の一つで、仏の住む最上の浄土とされている。
*93 性戒（しょうかい）
戒律の内容によって区分するとき、戒は性戒と遮戒とに分けられる（倶舎論）。性戒とは、殺・盗など本来人間として戒められている事柄で、あえて仏の制禁するものではない。遮戒は、飲酒などの戒で、酒を飲むことによって諸々の戒を破ることが多いため、仏が遮止したもの。
*94 虚空不動戒
虚空のように広大で、不動なる戒のこと。
*95 興師御筆に云く
「富士一跡門徒存知事」のこと。「御書全集」一六〇九頁。
*96 弁の阿闍梨
六老僧の一人、弁阿闍梨日昭のこと。
*97 少輔房（しょうぼう）日高
法華寺（現・中山法華経寺の前身）第二代、伊賀公・帥阿闍梨日高のこと。本文には少輔房とあるが、文永年中弁阿闍梨日昭に宛てられた手紙にみえる少輔房は、その後離反したが、文永六年に死亡。また、文応元年の松葉谷焼き打ちの際、日蓮聖人を法華経で打ちつけたとされる少輔房とも別。
*98 伊予阿闍梨
六老僧の一人、日頂のこと。所伝によれば、日頂は駿河重須の生まれで、日頂の母親は、後の日頂、日澄の二人の子供を連れて富木常忍のもとに再嫁した。
*99 宝冠形
宝冠とは仏菩薩の冠の総称で、冠をつけた姿のこと。
*100 波木井・原殿に給ふ御返事に云く
「原殿御返事」のこと。「日蓮正宗聖典」五五九頁。
*101 寂日房日華（にっけ）
日興上人本六（本弟子の六人）の一人。甲斐国（山梨県）鰍沢二十家村領主秋山信綱の子。南条時光の持仏堂を改めたとされる妙蓮寺の開基。
*102 日尊（にちぞん）
日目上人の弟子。正慶二年（一三三三）、目師天奏の際、伴として西上。途中目師は入滅するも、そのまま上洛して京都にとどまり、上行院を建立。後の要法寺の基礎となった。*105 日*103 日大（にちだい）
日尊の弟子。本覚法印ともいう。要法寺第六代。
*104 日尊実録※日大記之※に云く
「日蓮宗宗学全書」第二巻四一九頁。
*105 三類の強敵
法華経の行者に敵対する三種の存在。一、俗衆。二、道門。三、僣聖。
*106 尊
日尊のこと。
*107 尊の仰に云く
「日尊実録」のこと。「日蓮宗宗学全書」第二巻四二〇頁。
*108 富木五郎入道常忍
日蓮聖人とは早い時期から交流があり、その後も下総地方の檀越の中心的存在。現・千葉県市川市若宮の人で、下総の守護・千葉氏に仕えていた。俗名は常忍（つねのぶ）、入道となり常忍（じょうにん）と称す。宗祖滅後、常修院日常と改め、自邸の法華堂を法華寺と改称した。後年、この法華寺と弘法寺が一寺となり、現在の法華経寺となる。
*109 三ソ木（みそぎ）
神仏の像を造るのに用いる木の総称。桧、白檀、栴檀など。
*110 浄妙比丘尼
不明。
*111 日代
日興上人新六（新弟子六人）の一人。後年、富士河合に帰り、西山本門寺を創す。
*112 日代上人の御書に云く
「宰相阿闍梨御返事」のこと。「日蓮宗宗学全書」第二巻二三四頁。
*113 法詔寺（ほうしょうじ）
松平阿波守至鎮公の室、敬台院妙法日詔大姉（徳川家康の養女）が大檀那となり、一六二三（元和九）年、江戸浅草鳥越に建立された。その後、一六四五（正保二）年、阿波徳島に移され敬台寺とした。
*114 日因
大石寺三十一世