●不惜身命
▲身命に過ぎたる惜しき者のなければ、是を布施として仏法を習へば必ず仏となる。
身命を捨つる人、他の宝を仏法に惜しむべしや。
財宝を仏法におしまん物、まさる身命を捨つべきや。
男子ははじ(恥)に命を捨て、女人は男の為に命をす(捨)つ。
世間の浅き事には身命を失(うしな)へども、大事の仏法なんどには捨つる事難し。故に仏になる人もなかるべし。(佐渡御書 文永九年三月二〇日  五一歳 578

▲生涯本より思ひ切り了(おわ)んぬ。今に翻返(ひるがえ)ること無く其の上又違恨(いこん)無し。富木殿御返事   文永九年四月一〇日  五一歳 584

▲少しも妻子眷属を憶ふこと莫れ、権威を恐るゝこと莫れ。今度生死の縛を切りて仏果を遂げしめ給へ。(弟子檀那中への御状 380)