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かいだん　【戒壇】

戒壇とは、授戒の儀式を行なう場所をいう。
仏法に帰依した者が、定められた戒律を受持することを誓う壇場である。
その戒には、時と所によって、小乗戒・大乗戒・法華経迹門の戒・本門寿量の円戒などがあり、壇の形式もさまざまである。
末法今時においては、衆生が保つペき唯一絶対の戒は、本門寿量の大戒で、金剛宝器戒ともいう。

上行所伝三大秘法口決に

「一には本門寿量の大戒、虚空不動戒を無作の円戎と名け本門寿量の大戒壇と名く云々」　　とある。

　また、教行証御書（一二八二）に

「此の五字の内に豈万戒の功徳を納めざらんや、但し此の具足の妙戒は一度持って後・行者破らんとすれど破れず是を金剛宝器戒とや申しけんなんど立つ可し」　とある。

すなわち本門の御本尊を安置したてまつり、信心修行するのが本門の題目であり、安置したてまつる所が本門の戒壇である。

　日蓮大聖人出世のご本懐は、三大秘法のご建立にある。

末法に建立されるペき、本門の戒壇については、三大秘法抄（一〇二二）に

■「戒壇とは、王法仏法に冥じ、仏法王法に合して、王臣一同に本門の三秘密の法を持ちて、有徳王（うとくおう）・覚徳比丘（かくとくびく）の其の乃往（むかし）を末法濁悪の未来に移さん時、勅宣（ちょくせん）並びに御教書（みぎょうしょ）を申し下して、霊山浄土（りょうぜんじょうど）に似たらん最勝の地を尋ねて戒壇を建立すべき者か。時を待つべきのみ。事の戒法と申すは是なり。三国並びに一閻浮提の人懺悔（さんげ）滅罪の戒法のみならず、大梵天王（だいぼんてんのう）・帝釈（たいしゃく）等の来下（らいげ）して踏（ふ）み給ふべき戒壇なり。

とお示しである。

　すなわち、日蓮大聖人の建てられる戒壇は、過去に建立された小乗・大乗・迹門等の戒壇とは、まったく異なり、いちいちの行為において、悪をとどめ、善を成さしめる戒を廃して、ただひたすらに、仏の因行を行ずる本門戒の大戒壇である。

　弘安二年十月十二日、日蓮大聖人が出世の本懐として御建立になった大御本尊には

■「右現当二世の為に造立件の如し、本門戒壇の願主弥四郎国重、法華講衆等敬白、弘安二年十月十二日」　とあり、

また日興上人より日日上人への譲り状たる「日興跡条々の事」には

■「日興が身に充て給はる所の弘安二年の大御本尊日日に之を授与す、本門寺に懸け奉るべし」　とある。

この大御本尊こそ、本門戒壇に安置すべき御本尊なので本門戒壇の大御本尊と申しあげ、富士大石寺に厳護されている。

本門戒壇建立の地については、第二祖日興上人に対する遺命に明らかで、身延相承書（一六〇〇）に

■「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す、本門私通の大導師たるべきなり、国主此の法を立てらるれば富士山に本門寺
の戒壇を建立せらるべきなり、時を待つペきのみ、事の戒法と云うは是なり、就中我が門弟等此の状を守るペきなり」　とある。

本門の戒壇建立の地については、古来、迷論、僻説が多いが、いずれも、不相伝家の己義我見である。

田中日広（仏立宗）等は、

▼「一秘即三秘、受持即持戒であるから、本門戒壇の建立の必要なく、富士戒壇論は愚論で、もし建立するなら京都・宥清寺である」

という痴説を並べている。

中略　戒壇の歴史

末法の本門の戒壇、義と事の戒壇　

①　戒壇には、その意義・内容からして、事と義とがある。
古来、法華経の「是名持戒」等の文によって末法は受持即持戒である、すなわち南無妙法蓮華経をたもつことそれ自体が、戒をたもつことであって、戒壇はいらないとする考え方があった。

　これについて、文底秘沈抄には

「それ本門の戒壇に事有り義有り、所謂義の戒壇とはすなわちこれ本門の本尊所住の処、義戒壇に当るゆえなり、例せば文句の第十に『仏その中に住す、すなわちこれ塔の義』と釈するが如し云云、正しく事の戒壇とは一閻浮提の人懺悔滅罪の処なり、但然るのみに非ず梵天帝釈も来下して踏みたもうべき戒壇なり、
秘法妙にいわく『王臣一同に三秘密の法を持たん時、勅宣並びに御教書を申し下して霊山浄土に似たらん最勝の地を尋ねて戒壇を建立すべき者か、時を待つべきのみ、事の戒法と申すは是れなり』等云云、
宗祖云く『此の砌に臨まん輩は無始の罪障忽ちに消滅して三業の悪転じて三徳を成ぜん』」　　と述べられてある。

　また痴山日饒が　

▼「本門流布の地は皆本門の戒壇である」　

といったのに対し

●「若しこれ本門流布の地は皆これ本門の戒壇ならば、まさにこれ権迹流布の地、皆権迹の戒壇なるべし、もし爾らば如何ぞ月氏の楼至菩薩、祇園の東南に更にこれを建立せんや、亦復如何ぞ震旦の羅什三蔵・草堂寺において別にこれを建立せんや、
またまたいかんぞ日域の鑑真和尚小乗の戒壇を三処にこれを建立せんや、
またまたいかんぞ伝教大師迹門の戒壇を叡山にこれを建立せんや、
権迹の戒壇既に別にこれを建立す、本門の戒壇なんぞ更に建てざるべけんや」　　等と破折を加えられている。

三位日順の本門心底抄（富要二巻三四）　にも

■「行者すでに出現し久成の定慧広宣流布せば、本門の戒壇それあに立たざらんや」　とある。

事の戒壇建立はとうぜんのことなのである。

③　本門戒壇建立の場所。

三大秘法妙に示された

■「霊山浄土に似たらん最勝の地」とは、いったいどこを指しているのであろうか。

身延相承書（一六〇〇）には

■「国主此の法をたてらるれば富士山に本門寺の戒壇を建立すべきなり」　とあり、最勝の地とは、富士山であることはすでに大聖人のご決定であった。

末法の本門戒壇建立とは、化法の問題である題目の流布、本尊建立とは異なり、具体的な化儀の広布に属する問題である。
この事の戒壇は、絶対唯一の大御本尊のましますところであり、したがって最勝地を選んで戒壇を建立すべきなのである。

文底秘沈抄には

■「霊山浄土に似たらん最勝の地とは、まさにこの富士山なるべし、ゆえに富士山において本門の戒壇これを建立すべきなり」　とある。

　富士こそ日本一の名山であり、不思議にも、御本仏の名号と等しく古来から大日蓮華山と称していたのである。

したがって日興上人の門徒存知にも

■「凡そ勝地を撰んで伽藍を建立するは仏法の通例なり、然れば駿河国・富士山は是れ日本第一の名山なり、最も此の砌に於て本門寺を建つべきなり」　とあり、

また三位日順の詮要抄にも

■「天台大師は漢土天台山においてこれを弘宣す、かの山名を取って天台大師と号す、富士山また日蓮山と名づく、最もこの山にお
いて本門寺を建つべし、彼は迹門の本寺、これは本門の本山なり、ここに秘伝有り」　　とある。

　身延派などが、大聖人が九か年住まわれたことをよりどころにしたり、

■「かかる不思議なる法華経の行者の住処なれば争か霊山浄土に劣るべき」という御文をたてに、身延戒壇建立などといっているが、
いたずらに謗法と化した身延は

■「法妙なるが故に…所尊し」　という道理に反するものである。

三大秘法抄（一〇二三）に

■「叡山の座主（ざす）始まって第三・第四の慈覚・智証、存外に本師伝教・義真に背きて、理同事勝の狂言を本として、我が山の戒法をあなづり、戯論（けろん）と謗ぜし故に、思ひの外に延暦寺の戒、清浄無染（しょうじょうむぜん）の中道の妙戒なりしが、徒に土泥（どでい）となりぬる事云ひても余りあり、歎きても何かはせん。彼の摩黎（まり）山の瓦礫（がりゃく）となり、栴檀林（せんだんりん）の��
棘（いばら）となるにも過ぎたるなるべし。」と、いままた同じである。

大聖人が九か年身延におられたときには身延山も霊山浄土に劣らない清浄な地であったが、大聖人の教えに背いて謗法の山と化した身延山は、まさに

■「彼の摩黎（まり）山の瓦礫（がりゃく）となり、栴檀林（せんだんりん）の��
棘（いばら）となるにも過ぎたる」姿である。

　しかも、本門戒壇の大御本尊は厳然として富士大石寺に御安置されている。

日興上人の日日上人への御譲状のなかには

■「日興が身に充て給はる所の弘安二年の大御本尊日日に之を授与す、本門寺に掛け奉るベし」

また

■「大石の寺は御堂といい墓所といい、日目之を管領す……」　とある。

　また、妙蓮寺の日限も「五人所破抄見聞」に

■「南瞻（せん）部州第一の山に最も本門の事の戒壇建立在る可き大日蓮華山なり、弘経の大導師の御名乗りとこの山の名と自然符合の義殊勝なり、而るを五老一同に先聖まで誹謗する事悲しむべきなり」　　とある。

左京日教の「六人立義破立抄私記」にも

■「三箇の秘法建立の勝地は富士本門寺本堂なり、虚空不動戒、虚空不動定、虚空不動慧、三学倶伝名目妙法」　　とある。

（その他・富士を戒壇建立の地とする文献は

「百六箇抄」
「本因妙抄」
「産湯相承事」
「門徒存知事」
「五人所破抄」
「本門心底抄」
「摧邪立正抄」
「本因妙口決」
「五人所破抄見聞」
「依義判文抄」
「文底秘沈抄」等に繁多である）

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※　参照

「百六箇抄」　

■　下種の弘通戒壇実勝の本迹　三箇の秘法建立の勝地は富士山本門寺の本堂なり。(百六箇抄弘安三年一月一一日五九歳 1699)

「本因妙抄」

■　十一に彼の弘通は台星所居の高嶺なり、此の弘経は日王能住の高峰なり。1682

「産湯相承事」

■　日蓮は富士山自然（じねん）の名号なり。富士は郡名なり、実名をば大日蓮華山と云ふなり、

「門徒存知事」

■　日興云はく、凡（およ）そ勝地を撰んで伽藍（がらん）を建立（こんりゅう）するは仏法の通例なり。然れば駿河富士山は是日本第一の名山なり、最も此の砌（みぎり）に於て本門寺を建立すべき由（よし）奏聞し畢んぬ。仍って広宣流布の時至り国王此の法門を用ひらるゝの時は、必ず富士山に立てらるべきなり。1873

「五人所破抄」

■　次に日本は総名なり、亦本朝を扶桑国と云ふ。富士とは郡の号、即ち大日蓮華山と称す。爰（ここ）に知んぬ、先師自然の名号と妙法蓮華の経題と山州共に相応す、弘通此の地に在るなり。遠く異朝の天台山を訪らへば台星の所居なり、大師彼の深洞を卜して迹門を建立す。近く我が国の大日山を尋ぬれば日天の居住なり、聖人此の高峰を撰んで本門を弘めんと欲す。閻浮第一の富山なればなり。五人争でか辺鄙と下さんや。1878

「本門心底抄」

■　　此の上に本門の戒壇建立必定なり。所以は何、涌出神力の明文に本化の大人を召して久成の要法を授く。故に経には、後五百歳中広宣流布・於閻浮提内無令断絶と説き、釈に、当に知るべし法華真実経・於後五百歳必応流伝と明せり。之を加へ天台は下方を召し来る亦三義有り、是我が弟子応に我が法を弘むべし。縁深広を以て能く此の土に遍く益す等と云云。道暹云はく、付嘱とは此の経は唯下方涌出の菩薩に付す、何を以ての故に爾る。法是久成の法に由るが故に久成の人に付す等と経釈符契の如し、行者既に出現し久成の定慧、広宣流布せば本門の戒壇其れ豈立たざらんや、安置の仏像は本尊の図の如し、戒壇の方面は地形に随ふべし、国主信伏し造立の時に至らば智臣大徳宜しく群議を成すべし、兼日の治定後難を招くにあり。寸尺高下注記するに能はず。（改行・富士宗学要集二―三四）

「摧邪立正抄」

■　何に況んや中古の唐僧は閻浮無双の富士山・言ふ莫れ扶桑第一峯と称美讃歎してと云云、法華は諸経中の第一・富士は諸山中の第一なり。（富要２－43）

　故に日興上人独り彼山を卜して居し爾前迹門の謗法を対治して法華本門の戒壇を建てんと欲し本門の大曼茶羅を安置し奉って当に南無妙法蓮華経と唱ふべしと公家武家に奏聞を捧げ道俗男女を教訓せしむ是即ち大聖の本懐御抄に分明なり

「本因妙口決」

■　第十一に彼の弘通は台星所の高嶺なり、此の弘経は日王能住の高嶺なり。御書す心如何。答ふ、彼の弘通は台星所居の高嶺とは天台大師漢土の天台山に於て弘め給ふ。彼の山の名を取って天台大師と云うなり。此れは弘経は日王能住の高嶺とは冨山をば日蓮山と云ふなり。彼の山に於て本門寺を建立す可き故に日蓮宗を立て給ふ事なり。彼れは迹門の本山、是れは本門の本寺疑ひ無きものなり。是れは深秘の法門なり。之れに付て多くの秘伝之れ有り習ふ可し。（富要２－78）

「五人所破抄見聞」

■　次に日本　と者惣名亦本朝扶桑国と云う富士と者郡の号、即大日蓮花山と称す、爰に知んぬ先師自然之名号と妙法蓮花之経題与山　州共に相応す弘通此の地に在り、遠く異朝之天台山を訪うに台星之所居、大師彼の深洞を卜して而迹門を建立す、近く　我国之大日山を尋れば日天之能住、聖人此の高峯を選して本門を弘んと欲す閻浮第一の冨山也五人争でか辺鄙と下さん　哉。

「依義判文抄」

■　三大秘法抄十五三十一に云わく「戒壇とは、王法仏法に冥じ、仏法王法に合して、王臣一同に三つの秘密法を持ちて、有徳王・覚徳比丘の其の乃往を末法濁悪の未来に移さん時、勅宣并びに御教書を申し下して、霊山浄土に似たらん最勝の地を尋ねて戒壇を建立すべき者か。時を待つべきのみ。事の戒法と申すは是れなり」云々。「霊山浄土に似たらん最勝の地」とは、応に是れ富士山なるべきなり。録外の十六四十一に云わく「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之れを付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり。国主此の法を立てらるれば、富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり。時を待つべきのみ。事の戒法と謂うは是れなり」云々。応に知るべし、「日蓮一期の弘法」とは、即ち是れ本門の本尊なり。「本門弘通」等とは、所弘は即ち是れ本門の題目なり。戒壇は文の如し。全く神力品の結要付嘱の文に同じ云々。秘すべし、秘すべし。

「文底秘沈抄」

■　問う、霊山浄土に似たらん最勝の地とは何処を指すとせんや。

　答う、応に是れ富士山なるべし、故に富士山に於て本門の戒壇之れを建立すべきなり、将に此の義を明かさんとするに且く三門に約す、所謂、道理・文証・遮難なり。

　初めに道理とは、

　一には謂わく、日本第一の名山なるが故に。都良香の富士山の記に云わく
「富士山は駿河の国に在り、峰削り成すが如く直に聳えて天に属けり、其の高きこと測るべからず、史籍の記する所を歴覧するに未だ此の山より高きは有らざる者なり、蓋し神仙の遊萃する所なり」＠云々＠。

　二には謂わく、正しく王城の鬼門に当たるが故に。義楚六帖の第二十一五に云わく
「日本国亦倭国と名づく、東海の中に在り、都城の東北千里に山有り、富士山と名づく」＠云々＠。

東北は即ち是れ丑寅なり、丑寅を鬼門と名づくるなり。珠林の十一十一・●（ホ）記の第三＠云々＠。
類聚の一末三十五に云わく
「天竺の霊山は王舎城の丑寅なり、震旦の天台山は漢陽宮の丑寅なり、日本の比叡山は平安城の丑寅なり、共に鎮護国家の道場なり」＠云々＠。

上野抄外の五七に云わく

「仏法の住処は鬼門の方に三国倶に建つるなり、此等は相承の法門なり」＠云々＠。

　三には謂わく、大日蓮華山と名づくるが故に。
神道深秘二十六に云わく「駿河国大日蓮華山」＠云々＠。
今之れを案ずるに山の形八葉の蓮華に似たるが故に爾名づくるなり。
神社考の四二十に云わく
「富士縁起に云わく、孝安天皇九十二年六月富士山涌出す、乃ち郡名を取って富士山と云う、形蓮華に似て絶頂に八葉あり」＠云々＠。
古徳の富山の詩に云わく
「根は三州に跨がりて煙樹老い、峰は八葉に分れて雪華重なる」＠云々＠。

既に是れ日蓮が山なり、最も此の処に於て戒壇を建つべきなり、自余之れを略す。

　次に文証を引くとは、本門寺の額に云わく「大日本国富士山、本門寺根源」等＠云々＠。
御書外の十六に御相承を引いて云わく
「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之れを付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり。国主此の法を立てらるれば、富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり。時を待つべきのみ。事の戒法とは是れを謂うなり」等＠云々＠。

開山上人の門徒存知に云わく
「凡そ勝地を撰んで伽藍を建立するは仏法の通例なり。然るに駿河国富士山は日本第一の名山なり、最も此の砌に於て本門寺を建つべきなり」＠云々＠。

三位日順の詮要抄に云わく
「天台大師は漢土天台山に於て之れを弘宣す、彼の山名を取って天台大師と号す、富士山又日蓮山と名づく、最も此の山に於て本門寺を建つべし、彼は迹門の本寺、此れは本門の本山なり、此に秘伝有り」＠云々＠。

況んや復本門戒壇の本尊所住の処なり、豈戒壇建立の霊地に非ずや。

経に曰わく
「若しは経巻所住の処、若しは園中に於ても、若しは林中に於ても＠乃至＠是の中皆応に塔を起てて供養すべし」等＠云々＠。

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③　本門戒壇の建立の時を、日蓮大聖人は、三大秘法抄に「時を待つべきのみ」といわれ、本門戒壇建立を滅後に遺付された。

それについては土木殿御返事（九六三）にも

■「日蓮死生不定為りと雖も妙法蓮華経の五字の流布は疑い無き者か……但し定慧は存生に之れを弘め、円戒は死後に之を顕す、事相為る故に一重大難之れ有るか」　といわれている。

　本門戒壇建立の時代的・社会的背景として、日蓮大聖人が指摘されている条件は、正しい宗教の基盤が確立し、その広大で豊かな宗教の土壌のうえに、政治、経済、教育、文化等の諸活動が展開される時代のことである。

したがって、本門戒壇の建立というのは、そうした宗教革命、信仰者個々人の生命の変革を根底にした、総体革命の進行をその背景とするのである。

　また、

■「三国並に一閻浮提の人、懺悔滅罪の戒法のみならず、大梵天王帝釈等も来下して?給うべき戒壇なり」（一〇二二）　の御文は、本門の戒壇が、日本・中国・インドの三国のみならず、全世界の民衆がここに集って、大御本尊に唱題し、過去遠々劫以来の宿命を転換し、同時に、世界平和、仏国土の実現を祈願する道場であることを意味している。

　日蓮大聖人の仏法は、日本一国のためのものではなく、全世界の人々のためのものである。
本門の戒壇は、全世界の民衆の幸福と平和を実現するために建立されるものであり、全人類に開かれたものなのである。

そして、現在、本門戒壇の大御本尊は、富士大石寺の正本堂に安置され、全世界の民衆を待っているのである。

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