●罰
▲若し人信ぜずして此の経を毀謗せば○若し人と為ることを得ては諸根闇鈍(あんどん)にして盲・聾・背傴(はいう)ならん○口の気(いき)常に臭く、鬼魅(きみ)に著せられん。貧窮下賤(びんぐげせん)にして人に使はれ、多病瘠痩(しょうそう)にして依怙(えこ)する所無く○若しは他の叛逆(ほんぎゃく)し抄却(※抄劫 しょうこう 時を抜く→すきを見る)し竊盗(せっとう)せん。是くの如き等の罪横(よこしま)に其の殃(わざわい)に羅(かか)らん (十法界明因果抄   文応元年四月二一日  三九歳 210)

▲善戒を笑へば国土の民となり王難に値(あ)ふ。(佐渡御書 文永九年三月二〇日  五一歳 582)

▲若し復是の経典を受持する者を見て其の過悪を出ださん。若しは実にもあれ若しは不実にもあれ、此の人は現世に白癩(びゃくらい)の病を得ん。若し之を軽笑(きょうしょう)すること有らん者は当に世々に牙歯疎(げしす)き欠(か)け・醜(みにく)き脣(くちびる)平める鼻・手脚繚戻(しゅきゃくりょうらい)し、眼目角?(がんもくかくらい)に、身体臭穢(しゅうえ)・悪瘡(あくそう)・膿血(のうけつ)・水腹(すいふく)・短気(たんけ)諸の悪重病あるべし(十法界明因果抄 210)
過悪-------過罪悪業、十悪、五逆罪、謗法等。
白癩---皮膚や肉が白くなり腐る癩病の一種。
手脚繚戻→手足が曲がり自由に伸びない状態。
眼目角? ---瞳の方角が偏り、正常に者を見る事が出来ない事。
悪瘡---------悪性のできもの、腫れ物。
水腹---------腹部に濁水が充満する病気。
短気------息が詰まり呼吸が困難になること。

▲「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば、則ち一切世間の仏種を断ぜん。或は復顰蹙して疑惑を懐かん、其の人命終して阿鼻獄に入らん。地獄より出でて当に畜生に堕すべし、若しは狗・野干、或は驢(ろ)の中に生まれて身常に重きを負ふ。此に於て死し已はって更に蟒身(もうしん)を受けん。常に地獄に処すること園観に遊ぶが如く、余の悪道に在ること己が舎宅の如くならん」(戒体即身成仏義   仁治三年  二一歳 9)

▲仁王経に云く「人(ひと)仏教を壊(やぶ)らば復孝子無く、六親不和にして天神も祐(たす)けず、疾疫(しつえき)悪鬼日(ひび)に来たりて侵害し、災怪首尾(さいけしゅび)し、連禍縦横(れんかじゅうおう)し、死して地獄・餓鬼・畜生に入らん。若し出でて人と為らば兵奴(ひょうぬ)の果報ならん。
響きの如く影の如く、人の夜書(ものか)くに火は滅すれども字は存するが如く、三界の果報も亦復是くの如し。(立正安国論 249)

六親
父、子、兄、弟、夫、婦、
父、母、兄、弟、妻、子

悪鬼
病を起こす原因
誤った宗教、思想
人の苦悩の因となって思考を乱す源

災怪
災害などの異常な現象
災 災い 怪 常ならぬこと

▲「若し人悪(にく)み罵らば、口則ち閉塞(へいそく)せん」(曽谷入道殿許御書 文永一二年三月一〇日  五四歳 791

▲日蓮を父母にも三宝にもをも(思)ひをと(落)させ給はゞ、今生(こんじょう)には貧窮(びんぐ)の乞者(こつじゃ)とならせ給ひ、後生(ごしょう)には無間(むけん)地獄に堕(お)ちさせ給ふべし。(清澄寺大衆中  建治二年一月一一日  五五歳 947

▲師子を吠うる犬は腸(はらわた)くさ(腐)る。(兄弟抄 建治二年四月  五五歳 979
▲所対によりて罪の軽重はありけるなり。979

▲さだめて後生(ごしょう)はさてをきぬ、今生にしるし(験)あるべく候と存ずべきよし、したゝかにかたらせ給へ。(弁殿御消息 建治二年七月二一日  五五歳 998

▲はう(法)に過ぐれば罰あたりぬるなり。(種々御振舞御書 建治二年  五五歳 1066

▲今の世の人々は皆頭(こうべ)阿梨樹の枝のごとくにわ(割)れたれども、悪業ふかくしてしらざるなり。1071

▲死ぬる時はわるヽ事もあり。1071

▲其の頭のわれし時ぜひぜひ(喘息)やみ、五蔵の損ぜし時あかき(赤痢)腹をやみしなり。これは法華経の行者をそし(謗)りしゆへにあたりし罰とはし(知)らずや。1071

▲玄の三に云はく「軽慢(きょうまん)止まざれば舌口中に爛(ただ)る」(和漢王代記  建治二年  五五歳 1094
▲一切は現証には如(し)かず。(教行証御書  建治三年三月二一日  五六歳 1106)

▲善無畏・一行が横難横死、弘法・慈覚が死去の有り様、実に正法の行者是くの如くに有るべく候や。(教行証御書  建治三年三月二一日  五六歳 1106

▲東春(とうしゅん)に云はく「問ふ、何が故ぞ経を謗(ぼう)じて無間(むけん)に入るや。
「答ふ、一乗は是(これ)極楽の経なり。極妙の法を謗(そし)る故に極苦の処を感ずるなり。
初めには極法及以(および)尊人を謗ずる故に賤獣(せんじゅう)の報を受く。
二には平等大慧の経を謗ずる故に愚獣(ぐじゅう)の報を受く。
三には仏に権実の二教有り、権に執して而も実を破(やぶ)る故に一目の報を得(う)。
四には法を謗り人を毀(そし)るの時、心に瞋恚(しんに)を生ずる故に蛇身(じゃしん)の報を受く。
経に其の形長大とは大法を瞋(いか)る故に大苦の身報(しんぽう)を受く。
対(むか)って法を聞かざる故に聾病(ろうびょう)の報を受く。
行法を受けざる故に無足の報を受く。
愚癡にして経を謗ずる故に暗鈍(あんどん)の報を得。
?慢(きょうまん)の心にして謗する故に?陋(ざる)の報を得。
微妙の法を謗ずる故に醜陋(しゅうる)の報を得。
正直の経を謗ずる故に背傴(はいう)の報を得。
経に貧窮下賤為人所使(びんぐげせんいにんしょし)とは、経に万徳を備ふるを福貴と為す。富貴の経を謗ずる故に貧賤(びんせん)の報を得。
一乗に乗じて四方に遊び大自在を得。今自在の経を謗ずる故に不自在の報を得。故に人の為に使はるヽと云ふ。
此の経は能く凡夫・二乗・菩薩の病を破る。下の経に若人有病病即消滅(にゃくにんうびょうびょうそくしょうめつ)と云ふ。
無病の経を謗ずる故に多病の報を得」(法華経二十重勝諸教義  建治三年  五六歳 1190

▲若し悩乱する者は頭(こうべ)七分に破るとは、陀羅尼品に云はく「若し我が呪(じゅ)に順ぜずして説法者を悩乱せば、頭破れて七分に作(な)ること阿梨樹の枝の如くならん」1193

▲其の身は白癩(びゃくらい)黒癩(こくらい)、或は諸悪重病疑ひなかるべきか。(中略)此の身現身には白癩黒癩等の諸悪重病を受け取り、後生には提婆(だいば)・瞿伽利(くがり)等がごとく無間大城に堕つべし。日月を射(い)奉る修羅(しゅら)は其の矢還(かえ)って我が眼に立ち、師子王を吼ゆる狗犬(くけん)は我が腹をやぶる。(中略)小事すら猶しるしあり、大事いかでか現罰なからむ。(神国王御書 弘安元年  五七歳1305

▲過去・現在の末法の法華経の行者を軽賤(きょうせん)する王臣・万民、始めは事なきやうにて終(つい)にほろ(亡)びざるは候はず、(聖人御難事    弘安二年一〇月一日  五八歳 1397

▲大田親昌(ちかまさ)・長崎次郎兵衛尉時綱・大進房が落馬等は法華経の罰のあらわるゝか。罰は総罰・別罰・顕罰・冥罰四つ候。日本国の大疫病(やくびょう)と大けかち(飢渇)とどしう(同士討)ちと他国よりせめらるゝは総ばち(罰)なり。やくびゃう(疫病)は冥罰なり。大田等は現罰なり、別ばち(罰)なり。1397

▲三位房が事は大不思議の事ども候ひしかども、とのばら(殿原)のをも(思)いには「智慧ある者をそね(嫉)ませ給ふか」と、ぐち(愚癡)の人をも(思)いなんとをも(思)いて物も申さで候ひしが、はらぐろ(腹黒)となりて大づちをあたりて候ぞ。なかなかさんざん(散散)とだにも申せしかば、たすかるへんもや候ひなん。あまりにふしぎさに申さざりしなり。又かく申せばをこ(癡)人どもは「死もう(亡)の事を仰せ候」と申すべし。鏡のために申す。又此の事は彼等の人々も内々はを(怖)ぢをそ(畏)れ候らむとをぼへ候ぞ。1398

▲道理証文よりも現証にすぎず。(三三蔵祈雨事 建治元年六月二二日  五四歳874

▲法華経をば経のごとく持つ人々も、法華経の行者を或は貪瞋癡(とんじんち)により、或は世間の事により、或はしなじな(品品)のふるまひ(振舞)によって憎む人あり。此は法華経を信ずれども信ずる功徳なし。かへりて罰をかほ(蒙)るなり(日女御前御返事   弘安元年六月二五日  五七歳 1232)

▲罰に四あり。総罰・別罰・冥罰・顕罰なり。聖人をあだめば総罰一国にわたる。
国のやぶるヽは聖人をあだむ故とも愚人は弁(わきま)へざるか。1233