対俗三衣談(遠霑寺五十二代持宝院日芳・後の日元上人) 

■問う、三衣の中の一衣とする其の意如何、
答う深意量り難しと雖も此の一貫の珠数を以って南無妙法蓮華経と唱え奉つれば煩悩業苦の三道、法身、般若、解脱の三徳と転ずべし、若し爾らば有為の当躰に無畏の三徳の珠数を持ちぬれば煩悩を覆い除く豈に衣に非ずや、(1−390)

■此の三衣を天台は貧瞋癡の三毒の醜きを隠す意ぞと釈したまえり、(同上)

■仏弟子、三衣を著すれば三障四魔の怨敵怖畏するが故なり【是二】、其の外莫大の功徳を具せり、今富石門流の袈裟と衣と珠数との三衣は貧瞋癡の三毒を除き法身、般若、解脱となす、(同上)

■故に末法今時の出家、此の薄墨の袈裟、衣を著て手に房長の珠数を把らば是名持戒の人なるべし、薄墨の袈裟衣は不浄の身を覆い隠せば身は不浄なれども其身甚清浄なり、又不持戒の身なれども此の珠数を持たば是名持戒疑い無し、(391)

■三衣は仏の如く重んずべき事なり、(対俗三衣談・遠霑寺五十二代持宝院日芳・後の日元上人・富要1-391)

■三衣破惑証真の大法衣と心得べきなり、391 (三衣は惑を破し、真を証す。の大法衣と心得なさい。)


●法衣供養談義(日寛上人)

■当宗に於ては法華の衣を着する故に八寒八熱の苦無き也、宗祖の云く有為の凡膚に無為の聖衣を着すれば三途に恐れ無く八難に憚り無し等【云云】(3−277)

■心地観経に云く袈裟は神力不思議あり能く菩提の種を植え令む、道芽増長すること春苗の如し菩提の妙果は秋実に類す、雷電霹歴天之怒も袈裟を破る者は恐畏無し、白衣若し能く棒持せば一切の悪鬼能く近づくこと無き也。(3−285)

■牛角一触とは啓運七【五十九】議決に云く●梵波提過去に牛身を受け角を以て一たび袈裟に触るる此の因縁を以ての故に今日仏の出世に値て道を得と【文】。(286)