■　宗祖御遷化記録　　（※以下高橋粛道師の論文から抜粋引用の箇所多数ありそこ箇所に◎）

1863　日興上人御自筆　西山本門寺にあり

●西山本　平成四年十一月二十日　国の重要文化財指定　直筆全く疑う余地なし
経緯　池上本を重要文化財へ申請　却下　西山本が認可

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　　　　宗祖御遷化記録　　　弘安五年一〇月一六日

　一、弘長元年辛酉五月十二日、伊豆国に流され御年四十伊東八郎左衛門尉に預けらる立正安国論一巻を造り最明寺入道に奉る故なり。
　　　同三年二月廿二日、赦免（しゃめん）。
　一、文永八年辛未九月十二日、佐土が島に流され御年五十武州の前司（ぜんじ）に預けらる極楽寺長老良観房の訴状に依るなり。　訴状は別紙に在り。
　　　同十一年甲戌二月十四日、赦免。
　　　同五月十六日、甲斐国（かいのくに）波木井の身延山に隠居（いんきょ）す地頭南部六郎入道。
　一、弘安五年壬午九月十八日、武州池上に入御地頭衛門大夫宗仲。
　　　同十月八日、本弟子六人を定め置かる此の状六人面々に帯すべし云々。日興一筆なり。
　　　　　　　定
　　　　　　一弟子六人の事　不次第
　　　　　一、蓮華阿闍梨　日持
　　　　　一、伊与公　　　日頂

---------------------継目裏に次の判あり---------------------
　　　　　　日昭花押　　日朗花押　日興花押　他行　他行　（日向　日頂　不在）　日持花押

　　　　　一、佐土公　　　日向
　　　　　一、白蓮阿闍梨　日興
　　　　　一、大国阿闍梨　日朗
　　　　　一、弁阿闍梨　　日昭
　　　　右六人は本弟子なり、仍って向後（こうご）の為に定むる所、件（くだん）の如し。
　　　　　弘安五年十月八日　
　　　同十三日辰の時、御滅御年六十一　即時に大地震動す。
　　　同十四日戌の時、御入棺日朗日昭　子（ね）の時、御葬なり。
　一、御葬送次第
　　　　　先火　　　　　　二郎三郎鎌倉の住人
　　　　　次大宝華　　　　四郎次郎駿河国富士上野の住人
　　　　　　　　　　　　　左　四条左衛門尉
　　　　　次幡（はた）
　　　　　　　　　　　　　右　衛門大夫
　　　　　次香　　　　　　富木五郎入道
　　　　　次鐘　　　　　　大田左衛門入道
　　　　　次散華（さんげ）南条七郎次郎
　　　　　次御経　　　　　大学亮

---------------------継目裏判同前---------------------

　　　　　次文机　　　　　富田四郎太郎
　　　　　次仏　　　　　　大学三郎
　　　　　次御はきもの　　源内三郎御所御中間
　　　　　次御棺　　　　　御輿（みこし）なり
　　　　　　　　　　　　　　　　侍従公
　　　　　　　　　　　　　　　　治部公
　　　　　　　　　　　　　　左
　　　　　　　　　　　　　　　　下野公
　　　　　　　　　　　　　　　　蓮華闍梨
　　　　　前陣　大国阿闍梨
　　　　　　　　　　　　　　　　出羽公
　　　　　　　　　　　　　　　　和泉公
　　　　　　　　　　　　　　右
　　　　　　　　　　　　　　　　但馬公
　　　　　　　　　　　　　　　　�恩�
　　　　　　　　　　　　　　　　信乃公
　　　　　　　　　　　　　　　　伊賀公
　　　　　　　　　　　　　　左
　　　　　　　　　　　　　　　　摂津公
　　　　　　　　　　　　　　　　白蓮阿闍梨
　　　　　後陣　弁阿闍梨
　　　　　　　　　　　　　　　　丹波公
　　　　　　　　　　　　　　　　大夫公
　　　　　　　　　　　　　　右
　　　　　　　　　　　　　　　　筑前公
　　　　　　　　　　　　　　　　帥（そつ）公
　　　　　次天蓋（てんがい）　　大田三郎左衛門尉
　　　　　次御大刀　　　　　　　兵衛志
　　　　　次御腹巻　　　　　　　椎地四郎
　亀王童
　　　　　次御馬
　滝王童

---------------------継目裏判同前---------------------

●　一、御所持仏教の事

　　　　御遺言に云はく

　　　仏は釈迦立像墓所の傍（かたわら）に立て置くべし云云。
　　　経は私集最要文注法華経と名づく同じ墓所の寺に篭（こ）め置き、六人香花当番の時之を被見すべし。自余の聖教は沙汰の限りに非ず云云。

　仍（よ）って、御遺言に任せ記す所、件（くだん）の如し。

　　弘安五年十月十六日　　　　　　　　　　執筆　日興花押　

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◎当記録は全四紙からなり、四紙の裏継目の三箇所にそれぞれ日昭花押・日朗花押・日興花押・他行・他行・日持花押とあるので、向頂の両師は不参であったことを知る。
第四紙目は余白を残して終わっている。

●※第二祖と決まっていたからこそ中心的に記録され、他師が署名捺印しているのではないか
●※日向・日頂以外の書き判が為されている

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◎弘安六年一月二十三日に百箇日忌法要が営なまれたであろう。この百箇日忌法要に先立ち『墓所可守番帳事』が作られた。

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---------------------継目裏に判あり---------------------
　　　　　　　弁闍梨　花押　　大闍梨　花押　　白蓮阿闍梨　花押　　　他行　佐土公　　　他行　伊予公　　　蓮花闍梨　花押

　　　　定

墓所可守番帳事次第不同

正月　　辯阿闍梨
二月　　大国阿闍梨

三月　　越　前　公
　　　　　淡　路　公

四月　　伊　輿　公
五月　　蓮花闍梨

六月　　越後公
　　　　　下野公

七月　　伊賀公
　　　　　筑前公

八月　　和泉公
　　　　　治部公

九月　　白蓮阿闍梨　

十月　　但馬公
　　　　　卿公

十一月　　佐土公

十二月　　丹波公
　　　　　　寂日房

右守番帳次第無（二）懈怠(一）可（レ）令（二）勤仕（一）之状如（レ）件
　　
　　弘安六年正月　日

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◎　十八名の諒解を得て取り決めがなされ、第四紙と第五紙の裏継目に四老の阿闇梨号と書判、二老の他行としたためられた。
先の三紙の継目裏には日号で著名したが、ここには阿闍梨号の署名があり異なりが見られる。
このことは『宗祖御遷化記録』と『墓所可守番帳事』（墓番帳ともいう）の成立が異なっていたことを示し、先の四紙に、更に一紙を加えたのである。

『宗祖御遷化記録』の執筆は十月十六日で興師筆であり、『墓番帳』には弘安六年正月　日の日付があり、「執筆日興」とはないが興師筆である。

このようにして一箇月交替で宗廟は守護されることになった

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　字体の比較　

※西山本（墓所輪番　釈尊像は墓に　）御正筆　

「御遺言に云はく

　　　仏は釈迦立像墓所の傍（かたわら）に立て置くべし云云。
　　　経は私集最要文注法華経と名づく同じ墓所の寺に篭（こ）め置き、六人香花当番の時之を被見すべし。」
　　

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池上本（別当職輪番　釈尊像は日朗へ　）　　　

註法華経一部十巻　辨阿闍梨　御本尊一体（釈迦立像）　大國阿闍梨　　

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花押　字体　全く違う

日興上人・西山	日興上人・池上

日持上人・西山	日持上人・池上

日昭上人・西山	日昭上人・池上

日朗上人・西山	日朗上人・池上

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特に「月」の字　日朗の署名　花押が全く違う

一段・三段　西山本
二段・四段　池上本

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■　他門流見解

高橋粛道師の論文「宗祖御遷化記録と墓所可守番帳事」から（※若干の加筆編集あり）

●富谷日震（近代要法寺学匠）『夏期講習録』大正十四年十月

　「此で一つ不審とする処は池上本門寺に矢張り興師の御筆と称せらるる御遺物配分事と題するものと、墓所番帳と二通ある。
然るに池上の分には西山本門寺の分と相違して「身延山久遠寺番帳事」と書いてある。
仮りに同一人者の筆として、同一事項のものに一は「墓所可守番帳事」と両通の間に矛盾があるのは如何のものか。

殊に二者の御筆勢を拝するに、池上本は興師の特有の老筆。
門祖は世尊寺流の達人であるが、一方西山本は大体の御筆勢が晩年の書風と甚だしき相違は無いが、如何にも艶々しく壮齢期の書風に拝せられる。
何となれば弘安六年は門祖上人御年三十八才の時である。
池上本は愚眼には能く模してはあるが頽齢期の筆勢らしく模し、三十八才の御筆とは拝せられぬ。

尚又、西山本、其他にも白蓮阿閣梨と有るに池上本に限り白蓮房と房号にしてある抔（など）も、他門拝斥、てう（超）排他思想の旺盛なる時代に出来上がりたものではあるまいか」　（十八頁）。

　富谷氏は筆勢から西山本を真、池上本を偽とし、池上本に「白蓮房」と房号にしてあるなども他門排斥・超排他思想の旺盛なる時代の贋作であろうと述べている。
他門における現代史で池上本を偽作とする最初の文献であろう。

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●　本間裕史　「日蓮聖人御遷化記録考」　浅井円道先生古稀記念論文集　『日蓮教学の諸問題』　所収・平成九年二月

　「池上本に書かれている記述内容についての疑問点を以下挙げてみよう。（中略）

二　「佐渡公」について。

「渡」と「土」とは通音である。
したがって、西山本の「佐土嶋」の表記も、日向の「佐土公」の公名も四か所の全てが「土」と記述されている。
本来「渡」と書くべき字も、西山本では全て「土」の字に表記されている。
しかし、草案とみなされる池上本に限って、画数の多い「渡」の字をなぜ使用したのか。

三　池上本を草案と見倣すのであれば、そこになぜ四老僧の花押が据えられているのか。
単なる権威付けのためか。あるいは故意に信憑性を標榜せんがための偽作なのか。

四　「定」「阿闇梨」「公」「弘安」「年」の字体や「日興」に運筆の違いが顕著である。

五　全体のイメージとして、西山本のような筆致、筆勢が感じられない」　（二二五頁）。

　と、「身延山久遠寺番帳事」を偽書と断じている。

また、
　
●「もし、『御遺物配分事』　のように、合議の上で取り決めがなされ、即刻分与されたとすれば一大事である。
宗祖滅後わずか四日目にして、師を失った悲嘆の極みの中で、師の遺言を確認し合った同志の本弟子六人並に中老大徳達が、それから数日を経ずして、皆そろって日蓮の遺言に違背し、師敵対の行動に合意するはずがない。（中略）少くとも、この時期に遺品（仏と経）の配分は行われなかったと推察したい。
そして、『御遺物配分事』は日興執筆に仮託して、後人が作成したものではないのか」（二二九頁）。

　と、日位の『御遺物配分事』も偽書と見ている。

本間氏は御宝物御風入れの折、

『身延山久遠寺番帳事』　や　『御遺物配分事』　を拝見する機会を得た「い」』（←※この「い」は誤植であろう）といい、その結果、

●「日興の筆致、運筆、字体、筆勢等の特徴を逐一にわたって対照、照合を試みた結果、これらいずれの宝物も、日興の自筆とはとうてい言い難いと言わざるを得ない」（二三〇頁）

と断じている。

また、

●「今度、西山本が国の重文に指定されたことによって、立場は全く逆転する結果となった」　（二三一頁）

と、漸く西山本が参考程度であったものが日の目を見るようになったと記している。

　身延系で　『身延山久遠寺番帳事』　や　『御遺物配分事』　を偽書と述べた最初の論文ではなかろうか。
発表に至るまで勇気のいったことであろう。
本間氏が重須系の人であっても敬意を表したい。

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■　日蓮正宗系見解

●　堀日亨上人『身延離山史』昭和十二年五月

　　「身延の院主（貫首又住持）は自他一同日興上人に異論無き情勢の上にあった。
表面には五老達が嫉妬によりて興師に改めて反感を持つと云う事も無く、機嫌よく一切を興師に任せたと云う形であった。
其が自然に身延に反感を持つに至ったのは日円入道の行為に対してであらう。
又輪番制度と云ふものは御墓所を守る番役であって延山の総事務を支配する、即ち貫首職の順廻しではない。
若し果して住職の一箇月交替と云う規定なら、何と云ふ無知な定めであらう。
住職の輪番で無しに墓の輪番で各弟子一同に師孝の道を尽さしむるの方法であるから、其輪番が最初からハカバカしく行われないのに拘らず、山務には何の故障無く、葛藤無しに興師の御院主が継続したのである（二四頁）。

堀上人が院主と墓所輪番を別々なものとしているのは当然の推論であろう。

●　「未だ本文書（身延山久遠寺番帳事）に就いては眼福を得ないが、写真で見ると本文は興師の御筆法で全然無い。
（中略）何時（いつ）でも見得る西山本門寺の重宝たる墓番帳の写真と対照すれば一目瞭然、其の相違を知るべきである」　（二九頁）。

●　「（西山の正本には）墓所の意が明確に示されてあるに、池上本では月番の冒頭には墓所の二字を身延山久遠寺の六字に改めてある事である。
（中略）明らかに墓所と示してある正文書に四老僧の一丁毎に継印をして証明したものの文句を改造するのは、即ち文書偽造にも、変造にも当ると云へる。
又西山本には連署は無い裏判であるが、池上本には連署があるにも注意すべきである」　（三四頁）。

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●　富士学林研究科　『日興上人身延離山史』　昭和三六年十一月

　　「池上本も日興上人御筆と伝えられているのであるが、どうみても西山御正本の御真蹟とは似ていない。
これが十年二十年と年代が隔たっているのならともかく、全く同時期に記された事になっているのだから、何としても同じ人の筆と認めるわけにはいかない」　（二八頁）。

●　「久遠寺番帳の筆蹟のことを併せて勘えると、（御遺物配分事は）誠にその成立は怪しくなって来る。
即ちこの『配分帳』、並びに『久遠寺番帳』の筆体を、日興上人弘安五・六年頃のものとする事は無理であり、疑わしいのである。
　のみならず、大聖人の御遺言として　「仏並びに御経は墓所の傍、墓所の寺に置け」　とある。
この御記録（宗祖御遷化記録）は再三述べるように一点の疑う余地なき正史料であり、日興上人が、その御遺言を無視して昭・朗へ配分することを決め、記録などされる道理がない。
又「奪取」と書かれるわけもないではないか。
とすれば当然、この配分帳なるものは、何等かの理由により昭・朗・或いはその系統の手による謀作ではないか、と疑わざるを得なくなる」　（六〇頁）。

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●　創価学会教学部『日蓮正宗創価学会批判を破す』昭和三七年四月

　　「全体として池上にあるものは筆勢が枯れていて、宗祖御入滅当時壮年時代の日興上人の御筆跡ではない」（五六頁）。

●　「日興上人が、同じ弘安五年十月に執筆したものであるならば、一方では墓所へ置けとの御遺言を書き、他方で日昭・日朗に御遺物として配分されたなどとの矛盾を残されるわけがない。（中略）後になって具合が悪いので、御遺物として譲られたとの謀書を作ったに過ぎないのである」（五七頁）。

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●　大村寿顕（日統）「西山・池上両輪番帳の真偽について」昭和四三年一月稿、『富士学報』創刊号所収・昭和四六年十一月

　　「私は、異同以前の次元である筆跡において、この両本が同一の日に、同一人によって書かれたものでないことを断言したいのである」　（二一六頁）。

●　「どの一字を取り上げてみても同一人の筆でないことは一目瞭然であるが、その中でも特に違う点は、最も多く使われ、しかも癖の出やすい「月」の字に着目したい。

一段・三段→西山本
二段・四段→池上本

つまり西山本に於ける「月」の中は一本が殆どで然も筆を止めた形である。
それが池上本では月の中を二本に押さえ、しかも止めた形ではなく、流した感じであることが解るであろう」　（二一九真）。

　大村能化は一字一字を対照し、公・阿闇梨・弘安など数多くに筆法の違いがあると指摘され、更に

●　　「淡路公・佐渡公等の字に見られるように、草案と決めた池上本の方がむしろ行書体で、西山本の方が草書体で略字を多く使われているのはどうした理由であろう。
これこそ両本が同一人の筆でないことを物語る明らかな証拠と云えるのではなかろうか。
然も、若し草案であれば、四老僧の花押までは必要はなかろうと思う」（二二〇頁）。

と、『久遠寺番帳事』を偽筆と断じ、『御遺物配分事』についても花押や興の字体を比較検討して同じく偽書と結論づけ
ている。

大村能化は写真を使って照合しているので一段と説得力がある。

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以上のように旧来の諸説を列出し、特に池上本を正筆とする身延系の学説を批判してきたが、『身延山久遠寺番帳事』
や『御遺物配分事』が偽筆であることがより明確になったことと思う。

何にもまして西山本が重文に指定されながら池上本が指定されないのはこのへんを如実に示しているといえよう。
これにより、身延山院主の輪番制のなかったことがはっきりしたわけで、日興上人こそ身延山を付属された大導師であることを知るのである。

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参考文献　　備忘録

★　原殿御返事　正応元年　

●「大国阿闍梨の奪い取り奉り候仏」
●「大国阿闍梨の取り奉り候いぬ」

→　御遺物配分帳が正筆ならば、日興上人がこのように言われる筈はない。

→　日朗門流は　泥棒を正嫡にしている　

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★　「不次第」　　　日蓮大聖人の葬儀　　次の代に代変わりしていない　法臘順であるのは当たり前　葬儀が終了してから次の代に代わる

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★　なぜ身延を捨てたのか　

■　「地頭不法ならん時は我も住むまじき由、御遺言には承り候えども、不法の色も見えず候」　聖典555

五老が身延へ参詣しない理由として波木井が謗法といっていた。
その時は日興上人は波木井をかばっていた　
ということはこの遺言は門下一同に知れていたこと。

●　晩年になって改心し、日興上人のもとを訪れている五老僧の一人・日朗師

　「日向は禅・念仏の宗旨にも劣れり」

●　中山系の日親『伝燈抄』（一四七〇年）

　「下馬をも成す可からざる上は参詣は沙汰の限りなり」

当時の一般日蓮門下の間においても、日興上人身延離山の真相および身延山の大謗法が、周知の事実となっていたことを示している。

中山の日親　　「身延山は魔の棲家だから下馬をなすこともいけない」

当時　他門流の中でも身延はそのような認識になっていた。

万止む無く、謗法の山と化した身延を去られるのは当然の帰結

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■■■　日興上人が正嫡であった傍証　

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★ →　昭和定本　日興上人　41編（正宗の研究だと51編）御書の書写　　五老で10編以上書写した者はいない

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★　日向が身延へ登山し、学頭職を任じられる。
　　日興上人が最高責任者であり任命権があるからの事。

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★　日朗師、日興上人の御許へ

●　1310 延慶　３庚戌花園北条師時滅後 29年日目　　日朗富士に詣ず（聖634・4ｰ10）3.8　（富士年表）

　「但し日朗は大聖御入滅巳後二十九年目に日興上人ヘ御同心有って初て大聖の御影を拝し御在生の時を謂い悲歎し玉うと也、開山ヘ御対面定めて子細あるべし。」
　　（五人所破抄見聞　　　釈日眼述ぶ）

●　1317 文保　１丁巳 2.3 花園北条高時滅後 36年日目　　　日朗再び重須に到り正御影を拝す（聖634） 1.3　

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★　日頂師　日興上人の弟子に

●　1303 嘉元　１癸卯 8.5 後二条北条師時滅後 22年日目　日頂重須に正林寺を創す（寺誌）4.8　

●　1307 徳治　２丁未後二条北条師時滅後 26年日目　日頂書を鎌倉の了性房日乗に報じ日興に代りて法難を激励す（日興詳伝）7.12　

●　1317 文保　１丁巳 2.3 花園北条高時滅後 36年日目　　日頂重須に寂66（正林寺寺伝）4.8　

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参考文献

日興上人の身延離山後、日向は日円の要請により身延山の別当職に就いた。

当時の日蓮大聖人遺弟達は日向が日円と懇意なのがよほど不快だったらしく、日昭と日朗とのやりとりした書簡には、日朗が日昭から弟子を比叡山の戒壇で得度させても良いか相談を受けた時に「富士の戒壇で日興を戒師として得度させるべき」と助言し、「身延の日向の法門は禅念仏にも劣る」と書かれてしまっている。

日朗は、日蓮入滅後富士重須の日興上人は訪問しているが、身延の日向を訪問した記録は残っていない。

また日頂は真間中山を離れた後、身延の日向ではなく富士の日興上人のもとで重須談所設立に協力している。
日頂の弟の日澄は日向の弟子だったにもかかわらず日向と義絶し富士重須談所の初代学頭に就任している。

池上本門寺は江戸時代に法難にあうまでは、不受不施派だった
身延山久遠寺と池上本門寺の教義が元々同じはずはない
身延山は法難を池上に遭わせた張本人であろう。

中山法華経寺も法難前は不受不施派だったようである。
それぞれどの門流も細部の教義の違いはありますが、むしろ「身延門流だけ」が特別「何でもあり」だったというのが実情か。

だから、日向師対残りの五老僧の対立の方が、より深刻な対立だったと推断される。

だからこそ久遠寺の貫主だった日興上人が身延山への登山を促しても、他の老僧は登山しなかった。
そしてその段階では逆に日興上人は波木井殿と日向師を弁護している。
日向師は日興上人の元で学頭に任じられていた。

●　六老僧の一人である日頂師は重須で日興上人の弟子になっている。
六老僧が対等で日興上人対五老僧の対立構造だったならそんな事が起こるか？

日興上人と五老僧の教義の違いを認め、日興上人の正統を認めたからその五老僧の一人である日頂師はあえて重須で日興上人に帰伏したのであろう。

日向師だって、日興上人が正統だと考えたからその下で学頭と言う二番目の地位を受けたのであろう。

●　　１３００年代初期に数年間をあけて1回ずつだが、日朗師が富士の日興上人の元を訪ねたと言う記録と、日朗師が重須を訪ねたと言う記録がある。
途中はほぼ完全に断絶状態に近い状態でも、日朗師が日興上人を完全に敵対視していたとは考えにくい。

滅後からだんだん時間が経つにつれて変化したのだろうが、門下の誰から見ても日向師の教義逸脱は顕かだったとしか考えられない。
特に念仏を支持したり、神社の参拝を許すなどは日向師以外は認めていなかったように記録などからは見える。

つまり、どうも池上本門寺を含む日蓮門下の各本山の立場は、江戸時代に身延門流に吸収されはじめてから随分と変化したと言うのが実情。

教義では日向師は他の老僧とは変わっていても、化儀となると日興上人の側で学頭をしていたからか、日興上人に近い部分もあって興味深い。

板本尊、本尊書写の際に題目の真下に大聖人の御名を書き、自署は脇に小さく書くなど、逆に他の門流よりは富士門流に似ている。

御影堂だってどこの門流でも重要視している。
が、教義と化儀が一致しないと言うか、
「何故そんな事するの？釈迦本仏ならおかしくはないか？」　と言う事が現在では説明がつかなくなっている。

あきらかに日興上人と完全に義絶状態だったのは、日向師だけで、日頂師は日興上人に帰伏、日朗師は多少通行あり、

日頂師の帰伏も日朗師の訪問も身延離山の後の事。

日向師も久しぶりに身延に登山して、日興上人はそれを喜び日向師を学頭にしたとされている。

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