日興上人が正統である証明

★　二箇相承

1675A
　　　　日蓮一期弘法付嘱書　　　弘安五年九月　　六一歳
　日蓮一期（いちご）の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり。
国主此の法を立てらるれば、富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり。
時を待つべきのみ。事の戒法と謂ふは是なり。就中（なかんずく）我が門弟等此の状を守るべきなり。
　　弘安五年壬午九月　日　　　　　　　　　　　　　　　　日蓮花押　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　血脈の次第　日蓮日興　　　　　

1675B
　　　　身延山付嘱書　　　弘安五年一〇月一三日　　六一歳
　釈尊五十年の説法、白蓮阿闍梨日興に相承す。身延山久遠寺の別当たるべきなり。
背く在家出家共の輩は非法の衆たるべきなり。
　　弘安五年壬午十月十三日　　　　　　　　　　　武州池上　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日蓮花押　　　　

二箇相承がかつて存在していた論証　山口範道師の論文

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★　二箇相承が根源であるが、この存在を頑迷に認めない輩の為に、その他の傍証

■　去る文永免許の日、爾前迹門の謗法を対治し、本門の正義を立てらるれば、不日に豊年ならむと申せしかば、聞く人毎（ひとごと）に舌を振るひ耳を塞（ふさ）ぐ。其の時方人一人も無く、唯我日蓮と与我日興計りなり。（法華本門宗血脈相承事（本因妙抄）弘安五年一〇月一一日　六一歳　1684　※後加文）

■　具騰本種正法実義本迹勝劣正伝（百六箇抄）弘安三年一月一一日　五九歳　1685
　　　　　　　
本因妙の教主本門の大師日蓮謹んで之を結要（けっちょう）す。
万年救護写瓶（しゃびょう）の弟子日興之を授与す云云。（※後加文に非ず）

■　南無妙法蓮華経、南無霊山浄土久遠実成多宝塔中大牟尼尊、上行菩薩、日蓮日興に之を授与す。（※後加文に非ず）

（中略）

※以後、後加文↓　

就中（なかんずく）六人の遺弟（ゆいてい）を定むる表事は、先々に沙汰するが如し云云。
但し直授（じきじゅ）結要（けっちょう）付嘱は唯一人なり。白蓮阿闍梨日興を以て総貫首と為し、日蓮が正義悉く以て毛頭程も之を残さず、悉く付嘱せしめ畢んぬ。
上首已下並びに末弟等異論無く尽未来際に至るまで、予が存日の如く、日興が嫡々付法の上人を以て総貫首と仰ぐべき者なり。

　　　又五人並びに已下の諸僧等、日本乃至一閻浮提の外万国までも之を流布せしむと雖も、日興が嫡々相承の曼荼羅（まんだら）を以て本堂の正本尊と為すべきなり。
所以（ゆえん）は何（いかん）、在世・滅後殊（こと）なりと雖も付嘱の儀式之（これ）同じ。
譬へば四大六万の直弟の本眷属有りと雖も、上行薩・（さった）を以て結要（けっちょう）付嘱の大導師と定むるが如し。今以て是くの如し。
六人已下数輩の弟子有りと雖も、日興を以て結要付嘱の大将と定むる者なり。
　　　又弘長配流（はいる）の日も、文永流罪の時も、其の外諸所の大難の折節も、先陣をかけ、日蓮に影の形に随ふが如くせしなり。誰か之を疑はんや。
　　　又延山（えんざん）地頭発心の根元は日興が教化の力用なり。遁世（とんせ）の事、甲斐国三牧は日興懇志（こんし）の故なり。

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■　上行所伝三大秘法口決　大石寺蔵
■　教化弘教七箇口決大事　大石寺蔵
■　寿量品文底大事　大石寺蔵

※ このような下種仏法の深義が明かされた御書が日蓮宗系他門になく、ただ大石寺に蔵されている事実が、日興上人正統をの傍証ではないか。

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■　聖人言（のたま）はく、此の相承は日蓮嫡々一人の口決、唯授一人の秘伝なり、神妙神妙と言給（のたま）ひて留め畢んぬ。（産湯相承事　日興之記す　1710）

（※秘伝・相伝書であるが故に、大聖人の仰せの如く長く他門へ秘す。左京日教筆・大石寺蔵）

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★　大聖人が教主釈尊より唯授一人相承されたという文証

■　此の三大秘法は二千余年の当初（そのかみ）、地涌千界の上首として、日蓮慥かに教主大覚世尊より口決（くけつ）せし相承（そうじょう）なり。
今日蓮が所行は霊鷲山（りょうじゅせん）の稟承に介爾（けに）計りの相違なき、色も替はらぬ寿量品の事の三大事なり。（三大秘法稟承事　弘安五年四月八日　六一歳　1595）

■　秘すべし秘すべし、唯授一人の相承なり、口外すべからず。（御義口伝　1796）

■　末法に入りて此の経文を出ださん人は有るべからざるなり。慥（たし）かに塔中相承（たっちゅうそうじょう）の秘文なり。下種の証文秘すべし秘すべし云云。（御講聞書　1852）

■　所詮今末法に入りての如法相是（にょほうそうぜ）は塔中相承（たっちゅうそうじょう）の本尊なり。（御講聞書　1846）

■　法華本門宗血脈相承譜並びに七箇の大事相承次第
　常寂光土第一義諦霊山浄土久遠実成多宝塔中大牟尼尊（※おそらくここまでが正文で、以下が後加文か）

　上行菩薩　　日蓮大聖人　日興上人　（教化弘教七箇口決大事　1706）

■　霊山浄土多宝塔中久遠実成無上覚王の直授相承、本迹勝劣口決（くけつ）相伝の譜、久遠名字已来本因本果の主、本地自受用報身の垂迹（すいじゃく）上行菩薩の再誕、本門の大師日蓮詮要す。（百六箇抄　1685）

■　法華本門宗血脈相承事（本因妙抄）弘安五年一〇月一一日　六一歳　1676）

■　今日蓮は塔中相承の南無妙法蓮華経の七字を末法の時、日本国に弘通す。（十八円満抄　弘安三年一一月三日　五九歳　1518）

■　日蓮が己心に相承せる秘法を此の答へに顕はすべきなり。所謂南無妙法蓮華経是なり。（十八円満抄　弘安三年一一月三日　五九歳　1518）

■　日蓮相承の法門血脈、慥かに之を註し奉る。（立正観抄送状　文永十二年二月二八日　五四歳　775）

■　南無妙法蓮華経釈迦多宝上行菩薩血脈相承と修行し給へ。（生死一大事血脈抄　文永九年二月一一日　五一歳　514）

■　末学等疑網を残すこと勿れ。日蓮霊山会上多宝塔中に於て、親（まのあた）り釈尊より直授し奉る秘法なり。甚深甚深、秘すべし秘すべし、伝ふべし伝ふべし。（法華本門宗血脈相承事（本因妙抄）弘安五年一〇月一一日　六一歳　1681）

※大聖人御自ら教主釈尊より直授相承を承けられておられるとの御指南なこれほど存する。
自らが唯授一人・血脈相承されておられるからには、必ずまた次の方へ仏法伝持なされ、その方式は､自らと同じ、「唯授一人・血脈相承」であられるのは、道理の指し示すところ、当然である。

まずは六老僧を定め、更に別して御一人を定め唯授一人・血脈相承なされたことは、道理顕然であり、他の五老の誰人にも唯授一人・血脈相承された正当な証拠も、文献も、傍証も存在しない。

ただ、日興上人にのみ唯授一人・血脈相承された正当な文書＝二箇相承が曾て存在した証拠は数多くある。

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また、二箇相承を否定しても、日興上人が唯授一人・血脈相承をお受けされたであろう傍証も上記の如数多く存在している。

●　日興上人が　「宗祖御遷化記録・墓所論番帳事」　の執筆をなされ、正式な署名と御花押が為されているが、五老の内三師は、紙の裏への継ぎ印であること。
日向・日頂　二師に至ってはこの重要な取り決めの席にすら他行により欠席している。
これは日興上人こそが正統な後継第一人者であることの極めて重要な証拠である。
世間の通例に照らしてみても首肯できるところであろう。

●　日興上人が身延山久遠寺の別当職に就かれるにあたって、それに異を唱えたという事実を示す文書が全くない。
つまり、大聖人御入滅直後においては、日興上人及び門下一同、二箇相承の御指南の如くの規約通りに行動しているのである。
この状況証拠こそが、日興上人が大聖人の正嫡であることの証明ともいえる。

●　後に五老系は日興上人と決別するが、日興上人正嫡の富士大石寺に連綿と伝わる不動な三宝義に対し、五老系の三宝義の乱脈を見ればいかに不相伝家であるか明白である。
真摯に精緻に御書を研究すれば、富士大石寺に伝わる三宝義こそ、宗祖の御本意であることは誰人にも領解しうることである。

【参考論考】

■　異体同心なれば万事を成（じょう）じ、同体異心なれば諸事叶ふ事なしと申す事は外典三千余巻に定まりて候。（中略）「※１日蓮が一類」は異体同心なれば、人々すくなく候へども大事を成じて、一定（いちじょう）法華経ひろまりなんと覚へ候。悪は多けれども一善にかつ事なし。(異体同心事弘安二年八月五八歳 1389　無記)

「※１日蓮が一類」　とは日蓮大聖人を中心に教団が一結していたという証拠。
その教団の後継をわざわざ複数の弟子に等同に託したら、「日蓮が一類」というような一結した団結などは到底無理で、必ずや指導性・方向性に異議が生じ、教団が分裂することは火を見るより明らか。
「異体同心」を御指南された大聖人が、そのような危険性をわざわざ冒すはずのないことは道理から当然。