善光寺問題

善光寺 トップの貫主がセクハラ 信徒が辞任勧告

毎日新聞2016年6月26日 10時17分(最終更新 6月26日 12時23分)


 長野県の善光寺に2人いる住職の1人で、天台宗「大勧進」トップの小松玄澄(げんちょう)・貫主(かんす)(82)が職員にセクハラや差別的発言をしたとして、善光寺大勧進の信徒総代が25日、「生き仏と言われる僧侶にあるまじき行為。直ちに辞任を求める」とする勧告書を小松貫主に手渡した。

 同日に総代会が開かれ、総代12人の総意で勧告書の提出が決まった。勧告書などによると、小松貫主はセクハラやパワハラを受けたとして抗議した大勧進の60代女性職員に対し、小松貫主が昨年8月に不当な担当替えを命令。同10月には、別の職員に対し、女性職員について差別的発言をしたとしている。

 小松貫主を巡っては、過去に女性問題に端を発し民事訴訟に発展した辞任騒動があり、信徒総代はこの際にも辞任を求める申し入れ書を出した。勧告書では、過去から続く一連の小松貫主の態度や今回の差別的発言などを「看過できない」と問題視し、辞任を要求。

 春日英広・筆頭総代によると、小松貫主は勧告書を受け取ったが、「差別的発言はしていない」と否定し、辞任をするか態度を示さなかったという。

 天台宗の住職らで構成する「一山(いっさん)」も差別的発言問題を受け、今月23日に小松貫主に本堂への出仕を禁止する通告書を渡している。また、部落解放同盟中央本部と同県連合会が今年、事実確認の会合を複数回開いた。次回会合は28日にあり、小松貫主もそこで何らかの説明をするとみられる。【巽賢司、川辺和将】

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小松貫主に辞任勧告 善光寺大勧進の信徒総代

信濃毎日新聞

 善光寺大勧進(長野市)の信徒総代は25日、大勧進の小松玄澄貫主(げんちょうかんす)(82)に対し、辞任を勧告した。大勧進職員への「差別発言」問題や同寺天台宗一山住職らとの対立などを挙げ、「善光寺、大勧進の尊厳を著しく傷つけた」などとしている。一山25院を代表する臈僧(ろうそう)が23日に辞任などを通告したのに続く動き。25日の総代協議会後に勧告書を受け取った小松貫主は差別発言などを否定し、勧告を受け入れるかどうかには言及しなかったという。

 総代協議会は大勧進で開き、総代8人(他に委任出席4人)と小松貫主、一山住職ら合わせて15人が出席した。

 春日英広・筆頭総代(73)の閉会後の説明によると、部落解放同盟中央本部(東京)などが事実確認中の大勧進女性職員への「差別発言」や不当人事などについてただし、小松貫主は否定したという。

 これに対して総代側は、天台宗務庁(滋賀県)も交えた関係者への事情聴取などから「客観的事実と認めざるを得ない」と指摘。貫主辞任を巡って訴訟になるなど一山住職らとの長年の確執にも触れ、「信徒総代の総意として」臈僧の通告に足並みをそろえることにしたとした。

 総代顧問の宮沢建治弁護士(長野市)によると、総代が一致して小松貫主に辞任を勧告するのは初めて。春日筆頭総代は「全国の信徒に心配をかけ、心からおわび申し上げる」と述べた上で、「一山と総代が一致団結してここまでの行動を取ったことはない。重く受け止めてほしい」と求めた。一方で、勧告には強制力はないと説明し、「良心に訴えるしかない」と話した。

 善光寺大勧進の信徒総代は、大勧進の維持経営に協力する組織で、現在は会社経営者や弁護士ら13人で構成。任期3年で貫主が任命する。

(2016 6月26日)


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