日如上人による住本寺住職の任命は有効である
―大阪高裁が京都地裁の不当な却下判決を取り消す判断―
(『宗務広報No.1129』H22.1.28/『大日蓮』H22.3)
宗門有数の古刹である住本寺(京都市東山区)は、「正信会」の元住職・藤川法融が長年占拠し続け、日蓮正宗末寺としての正常な宗教活動ができない状態でしたが、同人は平成20年4月18日に死去しました。
しかし、藤川の病気療養中に、山口法興が住本寺に入り込み、新たに住本寺住職に任命された阿部郭道師が赴任する際も、これを妨害し不法占拠を続けました。
そこで、住本寺(阿部住職)として、山口を相手に、建物明渡しと宝物類の引渡し、さらには損害賠償を求めて京都地裁へ提訴しましたが、京都地裁は、あたかも訴訟の争点が「血脈相承」の有無の判断にあるかのごとく著しく誤解し、あろうことか住本寺の訴えを却下する不当判決を下しました(宗務広報No.1116既報)。
そこで、住本寺は直ちに大阪高裁へ控訴しました。
この訴訟において、本日、大阪高裁第3民事部・岩田好二裁判長は、「日蓮正宗の宗教団体としての自治的決定に従い、阿部郭道が控訴人代表者である」と認めるのが相当として、1審の却下判決を取り消し、京都地裁に差し戻す判断を下しました。
すなわち、
● 「日蓮正宗は昭和54年に阿部日顕が法主兼管長に選定されたとされた後も、今日まで30年以上にわたって多数の被包括宗教法人を抱える宗教団体として活動を続け」ていること、更に「現時点においては多数の被包括宗教法人は、阿部日顕、次いで早瀬日如が管長であることを前提として、宗教団体としてのすべての活動を行っている」、
● 「日蓮正宗及び傘下の多数の被包括宗教法人においては阿部日顕及び早瀬日如が管長であることを前提とする秩序が成立し、早瀬管長によって阿部郭道が住本寺の住職に選任され」
たと認定したものであり、これは宗教団体の自治的決定を尊重した極めて正当な判断であります。
本日の控訴審判決は、本件訴訟を京都地裁に差し戻したので、住本寺が日蓮正宗末寺としての健全な宗教活動を再開するには、今暫く時間を要しますが、宗務院としては最善の努力を惜しまず、今後も断固徹底して対処してまいります。
以上
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住本寺は宗門有数の古刹寺院であるが、「正信会」に属する元住職の藤川法融が死去した後も、全くの無関係者に過ぎない山口法興による不法占拠が続いてきた。
このような状況に対し長い間、寺院建物の明け渡し等を求めて訴訟が係争中のところ4月19日に山口が死去し、その遺族の申し出により住本寺御宝物・寺院建物等の財産一切が宗門へ引き渡され、日蓮正宗末寺として復帰した。
早速、現住職である阿部郭道御尊師が赴任し、30年ぶりに本来の正常な宗教活動が再開され、今後住本寺復帰奉告法要を奉修すると共に、訴訟は終結の手続きを取り、住本寺事務所も閉鎖する予定。(『大白法』H22.6.1)