0603
　　　　日妙聖人御書　　　文永九年五月二五日　　五一歳
　過去に楽法梵志（ぎょうぼうぼんじ）と申す者ありき。十二年の間、多くの国をめぐりて如来の教法を求む。時に総（すべ）て仏法僧の三宝一つもなし。此の梵志の意（こころ）は渇（かっ）して水をもとめ、飢へて食をもとむるがごとく仏法を尋ね給ひき。時に婆羅門（ばらもん）あり。求めて云はく、我聖教（しょうぎょう）を一偈（いちげ）持てり。若し実に仏法を願はゞ当にあたふべし。梵志答へて云はく、しかなり。婆羅門の云はく、実に志あらば皮をはいで紙とし、骨をくだいて筆とし、髄（ずい）をくだいて墨とし、血をいだして水として書かんと云はゞ仏の偈を説かん。
時に此の梵志悦びをなして彼が申すごとくして、皮をはいでほして紙とし、乃至一言をもたがへず。時に婆羅門忽然（こつねん）として失（う）せぬ。此の梵志天にあふぎ、地にふす。仏陀此を感じて下方より涌出（わきいで）て説いて云はく「如法（にょほう）は応に修行すべし、非法は行ずべからず、今世若しは後世、法を行ずる者は安穏なり」等云云。此の梵志須臾（しゅゆ）に仏になる。此は二十字なり。

釈尊が過去で菩薩道を修行した時の名。大智度論巻４９　楽法は妙法を楽（ねが）い求める。梵志は梵天の法を求める意。

四皓（白い）　全員髪と眉が白かった。　秦代の末、戦禍を避けて陝（せん）西省商山に入った4人の聖人。漢の高祖・劉邦は正確の柔軟な盈（えい）太子に譲位せず、戚（せき）夫人の子、隠王如意を立てようとした。この時盈（えい）太子の母、呂皇后は高祖の功臣、張良と謀り、四皓を盈（えい）太子の補佐役とした。高祖はこの4人が高齢ながら威容を持つ商山の四君子であることを知り、盈（えい）太子の廃嫡を止め、帝位を譲り、二代恵帝とした。

第一　華厳時	説所	伽耶城の菩提樹下、七処八会	これを依経とする宗派	華厳宗
	期間	三七日（２１日間）
	経	大方広仏華厳経
	位	法華経に次ぐ高度な経、権大乗教

伽耶城　がやじょう

Gayaは現在ベンガル州パトナ市の西南六十マイルの地にある古代マガダ国の都城。付近の尼連禅河 Nairanjanaのほとりの菩提樹下で釈尊は成道した。（坂本）
Gaya。ビハール州南部にある町。ブッダはこの町の近郊においてさとりをえたと伝えられ、それにちなんでその地をブッダガヤBodhi Gayaという。現在、大塔が建立され、菩提樹が植えられている。（岩本）

きっこう
虫＋吉　虫＋　（きっこう）の六即　きっこうのような虫でも法華経の妙理から見れば一念三千の当体であり、六即が立てられ、法華経の当機に入ること。背に甲翅（つばさ・はね）があって、全身黒色、好んで人糞を食い、巧みにこれを丸めるという。クソムシ・マルムシ。

有人楽生悪死
人、生を楽（ねが）い死を悪（にく）む有り。人、死を楽（ねが）い生を悪（にく）む有り。
煩悩に執着して生を求めて死を嫌う人も居れば
死後の安楽を願って生を嫌い死を急ぐ人も居る。無常観を説いた文。

転女成仏経
1巻、劉宋代の曇摩蜜多の訳。転女身経のこと。女身の種種の苦悩を説き、無垢光女の転身の例を引き、女人の成仏を明かしている。

北斗寿命経
北斗七星延命経　1巻　であると思われる。唐代の訳出。訳者不明。北斗七星図を示し、各星の司る運命を明らかにして、この経を受持・読誦し、供養する者は諸の災禍・疾病（しっぺい）を免れると。

二所
鎌倉時代に幕府の奉幣、社参をうけた　伊豆権現　箱根権現　源頼朝の信仰を厚く受け、以後代々の将軍・武将の崇敬をうけた。日興上人・富士門徒一跡存知事　波木井入道日円の四箇の謗法の一つに二所と三島神社参詣を挙げている。

後唐院
延暦寺第五代座主智証大師円珍　三井寺に唐から持ち帰った経籍を納める後唐院を造った。（延暦寺に唐院あり。）

張階
後漢代の学者。博学。武術にも熟達。名声大。慕ってくる者、跡を絶たず。弘農山中に隠居しても、多くの人が訪れ、華陰山の南には公超市が立つほど。算術にも優れ、五里の霧をつくる能力あり。

鸞巴

「鸞巴は雲をはく」とありますが、この鸞巴も道教の

　　者であり、こういう逸話があります。

　　　ある時、帝が催した宴席で、この鸞巴という人が、飲んだ酒を西南

　　の方向に向かって吐いたのです。鸞巴は帝の前の宴席でそんなことを

　　したわけですから、無礼極まりないと問われました。しかし、鸞巴は

　　「実は故郷の成都で火事があったので、酒を吹いて雲を起こし、雨を

　　降らして消したのだ」と、こう言ったというのです。成都というのは、

　　先日、四川省の大地震の起きた辺りの都市です。そちらへ酒を吹いた

　　と言うのです。

　　　その数日後、使者が来て言うには。実際に成都で火災が生じて、東

　　北の方角、ちょうど鸞巴が酒を吹いた方角から雲が起こって大雨が降

　　り、火が消えたというのです。しかも、その雨は酒の臭いがしたとい

　　うのです。どこまで本当か判らないですが、そういう話があるのです。

　　　要するに、こういった通力などを見ると多少驚くかも知れませんけ

　　れども、それに頼ってはだめだということを先に言われているのです。

四土
(1)天台宗で、四種の仏土。
凡聖同居(ぼんしようどうご)土
人・天等の凡夫　四聖も共に住む国土

方便有余(ほうべんうよ)土
見思惑を断じ、まだ塵沙惑・無明惑を余す二乗・菩薩が住む国土

実報無障礙(じつぽうむしようげ)土
別教の初地以上、円教の初住以上の菩薩が住む国土

常寂光土
法身・般若・解脱の三徳を具えた仏が住む国土

四土不二
四土といっても、法華円教の円融相即の教えに基づけば、一土に他ならない。四土は本来別々に存在するのではなく、住する衆生の一念によって決定される。

四教含蔵
化法の四教（蔵・通・別・円）を並べ説くこと。第三方等部略頌に「方等部には四教を説対す」とあるように蔵通別円の諸経（大日経・阿弥陀経など）では円を説くといえども四教含蔵の経であり、法華経のように純一無雑の円ではない。

教禅一致
その後、師・明全に従って入宋いたします。入宋の後、みずからの眼で中国禅林の諸山を巡錫しつつ、正師を尋ねて遍歴を重ねていきます。しかし、当時の中国では宋朝禅が隆盛をきわめておりました。それには、「教外別伝」派とか「教禅一致」派などと呼ばれるものがありました。それらは、仏祖伝来の面目を軽視して、恣意的に勝手な禅を鼓吹したり、また安易に儒・仏・道三教の帰するところは結局一つに帰するなどと説く、独断と妥協の禅風に堕していて、すでに活力を失っていました。これは求道の人・道元の納得しかねるところでした。

補註
宋の守倫の註
宋の住義の補註四は文句一の下から二の下までを註記したものである。

顕露

化義の四教 [編集]

化義の四教とは、人々を導くための形式（儀式など)を義と呼び、釈迦の教えを形式の上から分類したもの。

頓教（とん、頓とは速やかの意で、仏が悟りを開いた直後、衆生の機根に関係なくすぐに説いた教え）
漸教（ぜん、漸とは次第にの意で、浅い教えから深い教えと次第し順序を追って衆生の機根に応じて説いた教え）
秘密教（ひみつ、正しくは秘密不定教といい、機根の違う衆生同士に説法の違いを知られず（秘密）に、各々別々（各別）に応じた不定の得益がある法を説いた教え）
不定教（ふじょう、正しくは顕露（けんろ）不定教といい、機根の違う衆生同士でも説法の違いを知り（顕露）ながらも、各々別々（各別）に応じた不定の得益がある法を説いた教え）

これを五時と配釈すると、頓教は華厳時、漸教は阿含・方等・般若の三時、秘密教と不定教は華厳の一部と阿含・方等・般若となり、非頓非漸・非秘密非不定が法華涅槃時とする。

大慢
彼のインドの大慢婆羅門は、生まれながらの博学で、顕密の二道に通じていたばかりでなく、内道外道の典籍を掌ににぎるように通達していた。されば王臣も頭を下げ万人が師範とあおいだのである。しかし万人からあおがれるあまり慢心をおこして、世間の人が尊崇しているものは、大自在天・婆籔天・那羅延天と釈尊の四人であるところから、これらの四人を自分のすわる座の四本の足としてその上にすわって説法とした。

三階
　「三階信行禅師は法華経等の一代聖教をば別教と下(く)だす我が作れる経をば普経と崇重せし故に四依の大士の如くなりしかども法華経の持者の優婆夷にせめられてこえ(声)を失ひ現身に大蛇となり数十人の弟子を呑(の)み食う」(p361)
　三階教の開祖である信行(540-594)は、梁･武帝の大同６年、魏州(山東省)に生まれ、隋･文帝の開皇14年、55歳で没した。
　出家後、広く経論を研究。諸方を遊歴して修行に励んだという。初め相州(河南省)を中心にして、三階の教えを主張していたが、開皇９(589)年頃、勅によって長安に出て、公然と三階教を弘め始めた。
　信行は、生涯、頭陀乞食(ずだこつじき)の行を続け、長安の町で道行く人々を礼拝し「これ当来仏なり」と説いていた。長安では、三階教の根本聖典とされる「三階集録」をはじめ、多くの書を著すとともに、自らは労役に服して世の貧困救済に尽力したという。
　三階教は普法宗ともいわれ、仏教を時代と処と人について、それぞれ三階に分類するところからその名がある。時代の三階とは、仏滅後の時を正法･像法･末法に分けることであり、処の三階は、現実の世界と理想の浄土を三階に分け、浄土を第一階、穢土を二、三階としている。人の三階は、人に上･中･下があり、第一階の上の人は正法時代の人で、証悟を得られる立派な人。第二階の中の人は像法時代の人。第三階の下の人は末法の人で、悪を喜ぶ破戒･邪見･堕地獄の人々であるとする。
　信行は、こうした基本的な考えにもとづき、末法穢土に生きる第三階の人々を救うためには、どうすればよいかとの問いを投げかけ、これに答えるのが三階教であるとした。
　信行は、従来の仏教は、すべて時代不相応の教えであるとして批判。末法五濁の世の中を救う教えこそ三階教であり、これを末法唯一の仏教とする。法華経などは、第一階、第二階の聖者のための教えであって、法の優劣を判別できない第三階の人々にとっては無益である。第三階の人々には、普仏･普法を説く仏教でなければならないと言って、三階仏教･普法宗を弘めたのであった。
　三階教は広く一般大衆から支持を得て、深く浸透した。しかし開皇20(600)年、詔勅をもって禁断される。それは、三階教が激しく為政者を批判したためであった。以後、三階教は邪教であるとして、たびたび禁止され、唐代には絶滅する。このため、典籍の多くは後代に伝わらず、信行の著作もわずかに「三階仏法」四巻と、その他の断片が残っているに過ぎない。(1983.12.20)

顕本遠寿
寿量品の文底に説かれた久遠元初の顕本

増道損生
円教（完全なる教え）において、釈尊の本地が久遠実成と顕されることによって、仏道における智慧を増進して無明を断じ変易生死が無くなること。

綺理季
中国・秦代の隠者。秦末の世の乱れを見て、商洛山に隠れ、世の中が鎮まるのを待った。

厳光
前漢・BC39～後漢AC41　隠者　幼い頃から学才豊かで高名。後漢の光武帝（劉秀）と同学。
光武帝即位後は名を変え隠遁。帝はその才を惜しみ、自ら出向いて仕官を懇請したが、ついに仕えず、富春山で耕作して一生を終えた。

介子綏
春秋時代　晋　春秋五覇　晋の文公に仕え、19年間の亡命生活を共にした。その間、文公が飢えた時には、自らの足の肉を割き与えて文公の飢えを救ったという。しかし、帰国後、文公が即位し、亡命に従った者達に報償を授けた時、介子綏には賞がなかった。介子綏は報償の授受は天の功績を人が盗み貪ることと考えてこれを非難し、また報償のないことを怨む自他の心を卑しんで、母と共にめん上山に隠棲した。文公はこれを惜しんで探したが見つからず、ついに母子共に彼の地で死んだという。

摩尼
宝珠と訳す．摩尼宝・摩尼珠ともいう．珠の総称．
般若経巷十には摩尼珠について，
「悪を去り濁水を澄ましめ，病患を取り去る徳分がある」と説き，
涅槃経巻九には
「摩尼珠の如し．之を濁水に投ずれば水即ち為に清む．大乗経典も亦復く是の如し」とある．
また意の欲するままに種々の宝を出す徳のある如意宝珠をさす場合もある．

「蘭室の友に交はりて麻畝の性と成る」（御書二四八頁）

蘭室とは、かぐわしい部屋、または立派な人の居る室ということ

『蘭』は、

美徳のあるものをたとえるときにつかわれます。

つまり

高徳の人のことをあらわします。

すなわち『蘭室』とは蘭香の室　つまり…善人・佳人のいる部屋という意味です。

さらに

『麻畝』は、麻畑のことです。

『麻畝の性』とは麻畑の中にできる性分・性格のことです。

「麻中の蓬」ともいいます。

麻は、まっすぐに伸びるけれど蓬は曲がって伸びやすい植物です。

でも、

麻畑に生えた蓬は麻に支えられて自らまっすぐに伸びるようになるそうです。

香りの高い蘭のある部屋にいると、その香りが体にしみてくるのと同じように、高徳の貴人・善人と共にいるといつのまにかその徳の感化を受ける

善良な人のに交われば悪もその感化をうけて自然に正される

禿樹禿（とくじゅかぶろ）に非ず
葉が落ちた木であっても蘇生しない木になったのではない。春になれば新芽を生じるように過去の非を悔いて正法を信じれば成仏出来る、ことの例え。

蘭菊
段菊の別称。夏に小さな花が、葉の付け根毎に密生して、段々状になる。転じて、ものが群がり並立する様を喩える。

須頭檀王
釈迦の過去世の因位修行中の名。国王だったが正法を求めて王位を捨て千年間阿私仙人に随って修行し成仏した。この阿私仙人＝過去世の提婆達多。

上能兼下
「上は能く下を兼ねる」ということ。
一般にも「大は小を兼ねる」というように、広いものや多いもののほうが、狭く少ないものよりもよいだろうという考えで法華経の上においても同じように考えようとしている質問。

実相の理

「所詮実相の理の背契（はいけい）を論ぜよ。強（あなが）ちに多少を執する事なかれ。汝至って愚かなり、今一の譬へを仮らん」とありますが、この「実相の理」というのが今、申し上げたことであります。すなわち方便品に「諸法実相。所謂諸法。如是相。如是性。如是体」云々と説かれる諸法の実相たる十如は、ことごとく万物の存在の法であります。これは必ず、因と果と、縁と報があって物事が存在するということで、それをキリスト教やイスラム教のように「天にまします我らの神よ」というような思想を持つと、因縁因果の道理がはっきりしなくなってしまうのです。それらの人々は、何によって神様がそこに存在するのかは考えず、ただそう信ずるのだと言っているようですけれども、そういう無理な思想・宗教の考え方から大変おかしな問題も出てくるのであります。やはり正しい因縁因果の道理を説くところに仏法の正しい意味があるのであり、それがまた法界の全体に遍満しておるというのが「実相の理」であります。

また、この「背契を論ぜよ」ということは、「背」は背中、うしろということで、目の前に現れていない全部の姿ということです。一往、皆さん方は一人ひとりの人間の形として現れているけれども、現実に見えるあなた方の姿だけがあなた方かというと、そうではないのです。あなた方の命のなかには様々な徳もあれば、対人関係や仕事などもあるのであり、この「背」とは世の中全部の奥にある、目には見えない法という意味であります。そして「契」は、それをきちんと示されたところの印という意味でありますから、「背契を論ぜよ」というのは法界全体を本当に示すものは何かということを論じなさいということで、要するに先程から仰せになっているように、妙法蓮華経の五字を信じなさいということなのです。これは我々の凡眼凡智ではよく解らないかも知れないけれども、ただ妙法蓮華経を信ずるところに、この法界全体を知るという意味が存するということであります。

句詮差別
句は差別を詮す　妙楽　文句記巻一上　一句の文はよく他との相違や特質を説き明かすこと。

名体宗用教
天台大師が諸経の経題を解釈するのに用いた五重の次第。
釈名　経題を解釈
弁体　一経の所詮の理を弁ずる
明宗　一経の教える目的（宗要）を明らかにすること。
論用　一経の力用・功徳を論ず
判教　一経の教相を判ずる
法華玄義　妙法蓮華経　について解釈

覆講とは、大通智勝仏が説いた法華経を再び十六王子が講説（こうせつ）し、大衆に結縁したことをいう。

『化城喩品（けじょうゆほん）』では、大通智勝仏の第十六番目の王子が釈尊であり、この王子によって法華経が覆講されたことが説かれている。

この時、第十六王子の釈尊によって下種結縁（げしゅけちえん）された衆生が在世の声聞である。

猪は「金の山」が輝いているのが気に入らない。「なんだ、あんなやつ」と、輝きを消そうとして体をこすりつける。猪の毛は硬く、勢いもすさまじい。しかし、こすればこするほど、金山はますます輝きを増していった

顕露 化義の四教 [編集]

顕露

化義の四教 [編集]